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【日印人材交流調査シリーズ4】
インドから高度人材の誘致について-高度人材誘致に向けた特効薬はなし。着実な努力が重要

2017年08月07日 熊谷章太郎


要約

  1. はじめに

    • わが国は、産業のイノベーションの促進、専門家の労働市場の育成に向けて、高度外国人人材の受入を進めている。インドは国際競争力のある高度人材の重要な供給国であるものの、日本の同国からの高度人材の受入数は限定的である。


  2. インド人高度人材の移住先

    • 米国、英国、カナダ、豪州、シンガポールなどの英語を母国語とする先進国がインド人高度人材の主な移住先であり、受入国における高い給料や生活の質の高さが移住の主な理由となっている。


  3. 日本における外国人高度人材の受入状況

    • わが国における外国人高度人材数は2012年より増加傾向が続いており、中国からの技術・人文知識・国際業務における労働者が増加の主因となっている。規模は依然として限定的であるものの、高度人材の受入推進に向けて、政府は2012年よりポイント制による出入国管理上の優遇措置を導入している。


  4. 日本におけるインド人高度人材

    • 在日インド人には、ICT(情報・通信)業界における就業割合が高いといった特徴が見られる。日本政府は、2015年に「日印・IoT投資イニシアティブ」を打ち出すとともに、2017年に「日印IoT(Internet of Things)分野の協力に係る覚書」を締結するなど、同分野に置ける日印間の関係強化に向けた施策を展開している。


  5. インド人高度人材の日本での就業の課題

    • インド人高度人材の日本での就業における主たる課題としては、長時間労働、日本企業独自のコミュニケーション様式、不透明な昇進システム、高い日本語レベルの要求、子供の教育問題(インド人学校の少なさ、インターナショナルスクールの高い学費)などが挙げられる。


  6. インド人高度人材の誘致に向けて

    • 企業・労働市場改革や教育システムの拡充などを通じてインド人高度人材の受入を促進する環境を整えるには相当の時間がかかると見込まれる。こうした取り組みを継続する一方で、観光などを通じて日本滞在の魅力をアピールすることや留学生の受入を促進することも重要となろう。

レポート全文
【本調査レポートについて】

なぜ、日印関係なのか
• インドは日本にとって戦略的に重要なパートナーであるものの、経済・人的なつながりは他国と比べて薄く、二国間関係の深化に向けた取り組みの強化が求められる状況。

なぜ、このタイミングなのか
• 日印両政府は、両国の友好関係を更に強化し、様々な分野での交流が深め、相互理解が一層増進されることを期待し、2017年を「日印友好交流年」に設定しており(注)、本年は日印間の人材交流について改めて考えるのに相応しい。
注 2016年11月にモディ・インド首相が訪日した際、安倍首相との間で、日印間の人材交流の活発化に向けて2017年を日印友好交流の年とする合意を受けたもの。

本レポートの位置づけについて
• 本レポートは、日印両国の人材交流の促進に向けて、二国間の観光、高度人材の受け入れ、留学生の受け入れなど、の人材交流について調査。
• 本事業は、外務省の「日印友好交流年記念事業」登録済事業。

既刊レポートについて
1. インド人訪日客の現状と展望
2. クールジャパン戦略を通じたインド人旅客の誘致について
3. 在日インド人の現状と展望
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