コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

「コーポレートガバナンス・コード対応の課題と方針の実態調査」(後編)

2016年05月23日 青木昌一


本レポートは、東証一部・二部上場企業におけるコーポレートガバナンス・コードに関する取り組みをはじめ、中期経営計画への取り組みや数値目標のあり方等を中心に報告した“「コーポレートガバナンス・コード対応の課題と方針の実態調査」(前編)”(2016年4月20日)の後編として、取締役会の形式に関する動向、取締役会評価に関する取り組み等の状況に焦点を当て報告するものです。

【調査の目的】
 株式会社日本総合研究所は、2015年6月より上場企業に義務付けられたコーポレートガバナンス・コードの初年度対応状況について、東証一部・二部上場企業を対象としたアンケート調査を2016年1~2月に実施しました。
 コーポレートガバナンス・コードには、基本原則・原則・補充原則を合わせて73の原則があります。東証一部・二部上場企業の場合、全73原則について「コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)が求められます。その内容は広範多岐にわたり、上場企業にとっては相応の負担が生じます。そこで、初年度対応を通じてどのような課題を感じられているかを明らかにし、今後のあるべき対応方針について示唆を得ることを本調査の目的としています。

【アンケート調査の概要】
調査対象 : 東証一部・二部上場企業2,416社
回収状況 : 312社から回答(回収率12.9%)
調査方法 : 郵送調査
調査期間 : 2016年1~2月

【主な調査結果】
取締役会の機関設計の傾向
 監査役会設置会社が87.5%と多く、今後についての考え方でも「任意の諮問委員会設置を検討している」の24.9%を監査役会設置会社と見なせば70.0%が監査役設置会社となっています。一方で25.3%の会社が新たに監査等委員会設置会社への移行を検討しており、1~2年後には監査等委員会設置会社が増加する見込みとなります。
 また、その理由は「経営の監督機能を強化するため」67.1%、ついで「独立社外取締役2名以上の選任に対応するため」58.6%となっています。これは社外取締役の確保が難しいことから、社外監査役を監査等委員会設置会社に移行するにあたり、そのまま独立社外取締役にスライドすることを意図したものである可能性が高いと考えられます。

図表1 現在の取締役会の機関設計(N=312)



図表2 監査役設置会社のうち、取締役会の今後の機関設計の方向性(N=273、複数回答可)



図表3 監査等委員会設置会社への移行を考えている企業が検討を行う理由(N=70、複数回答可)



取締役会評価を導入すべきと考えている企業が多いものの、具体的な方法の確立が今後の課題
 取締役会へのアンケート等の自己評価については、「実施しており、更に発展させたい」9.6%、「実施している内容を継続したい」12.5%、「実施しているが縮小や廃止をしたい」0.3%となっており、現段階では実施率が低いと言えます。
 一方で「実施していないが、将来的には実施したい」と考えている企業が66.7%と、実施しなければならないとの問題意識はあるものの、まだ踏み切れていない会社が大きな割合を占めており、具体的な実施方法などを検討中です。
 なお、将来的に内部で仕組みづくりを検討している企業が多く、「今後も(外部専門機関との協力による分析・評価)を実施する予定がない」とする回答が59.3%と過半であることも特徴的です。

図表4 取締役会へのアンケートなどの自己評価(N=312、複数回答可)



図表5 社外取締役や監査役が中心となった分析・評価(N=312、複数回答可)



図表6 外部専門機関との協力による分析・評価(N=312、複数回答可)



後継経営者育成が多くの企業の経営課題
 「特に課題を感じていない」37.8%となっており、約3分の2の会社が後継者育成等で人材不足や人材の資質・能力不足等の課題を感じています。

図表7 最高経営責任者等の後継者の計画(N=312、複数回答可)



※「コーポレートガバナンス・コード対応の課題と方針の実態調査」のアンケート調査票は、こちらからダウンロードできます。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ