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「2013年度 アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査」結果
「省エネ」や「健康」等 社会課題への対応意識が高まるアジア主要12都市生活者

2015年02月03日 アジア消費者研究会


【インフラ】インフラ費用節約意識は東京以上、省エネ商品に商機あり
アジア主要12都市(上海、北京、広州、ムンバイ、デリー、シンガポール、クアラルンプール(スランゴール州含む)、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ハノイ、マニラ)の「中間層」(注1)以上の世帯では、電気代・ガス代・水道代、通信費などのインフラコストのうち、中国3都市を除くすべての都市で電気代に対する不満が大きい。電気代・電気使用量を削減する方法としては、「こまめに照明を消す」といった『伝統的な』取り組みと併せて、エネルギー効率を重視した機器の導入意欲が高く、電気代削減を実現する省エネ商品に商機がある。

【健康】健康関連商材の販売においては、健康意識の啓発と家族の巻き込みがカギ
どの都市においても、健康に不安を感じている人の9割前後が生活習慣改善の必要性を感じている。生活習慣改善の決断に対する影響を与える主体として、すべての都市で6割以上が「家族」を挙げており、中国3都市では医療従事者、インド2都市では友達・同僚からも強く影響を受ける。生活習慣改善意識の啓発を通じて、生活改善を支援する健康食品やサプリメント、健康器具等の健康関連商材への需要を喚起できる可能性がある。また、そのプロモーションには、家族や医療従事者への展開も必要になる。

【幸福感】「幸福感」の高さは所得と相関、幸福感へのつながりを意識した商品開発を
「幸福感」の程度を尋ねた質問において、「とても幸せ」と答えた比率が最も高いのはデリー、「幸せ」まで含む比率ではジャカルタが最も高い。一方、東京、シンガポールは「とても幸せ」の比率が1割を切り、「幸せ」まで含んでも4割程度であった。経済発展段階による絶対値の高低はあるが、多くの都市で世帯年収水準と幸福感には正の相関関係がみられる。幸福感を判断する際に多くの都市で特に重視される項目は「健康状況」、「家計状況」、「家族関係」など。各都市における商品開発やプロモーションの際には、こうした各都市生活者の幸福感を規定する要素を意識すると、訴求力が高まる可能性がある。

(注1)本調査では、経済産業省「通商白書2009」で定義された分類にならい、世帯年間可処分所得5,000~35,000米ドルを「中間層」と設定
上記以外に、「医療」「住まい」「観光旅行」の消費状況および「都市インフラ」の満足度を調査した。

 日本総研では、2013年11月、アジア市場における消費動向を把握するため「アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査」を実施しました。これは、2011年12月に実施した同調査の第2回目です。
 近年、アジアがその人口ボリュームや経済成長を背景に注目を集めています。また、アジアにおける都市の人口集中は進み、日本企業にとって、アジア大都市は消費市場としての魅力が高まるばかりです。しかし、都市レベルの消費動向データは少なく、消費動向の理由やその背後にある消費価値観まで分析することは容易ではありません。そこで、日本総研では、アジア主要12都市と東京に住む「中間層」(世帯年間可処分所得5,000~35,000米ドル)以上の20代~40代男女を対象に以下の各トピックについてアンケート調査を実施し、アジア主要都市と東京との消費動向の比較分析を行いました。

●世帯の状況(世帯人員、家族人員、所得・支出状況、資産・借入状況)
●耐久消費財の保有状況・購入意向
●時間の使い方
●幸福感
●「医療」・「健康」・「住まい」・「インフラ」・「観光」分野における消費状況・消費ニーズ
●各種「都市インフラ」に対する満足度

アンケート概要
■調査目的:アジア主要都市ボリュームゾーン消費者の消費動向・価値観を、東京と比較分析すること
■調査手法:インターネット調査
■調査時期:2013年11月
■調査地域:東京、上海、北京、広州、ムンバイ、デリー、シンガポール、クアラルンプール(スランゴール州含む)、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ハノイ、マニラの13都市
■調査対象: 年間可処分所得が5,000米ドル以上の世帯に住む20~40代男女。
計7,187人(注2)。

(注2)各都市500人(性年代別均等割付)を回収目標とし、各都市で500人を超えたサンプルについても、分析対象とした。ただし、マニラの男性・女性40代、ハノイ、ホーチミンの女性40代は回収目標に満たなかったため、回答者数の補正処理(ウェイトバック)を行って集計している。


主な調査結果
【インフラ費用節約意識は東京以上、省エネ商品に商機あり】
●中国3都市を除くすべての都市で、電気代への不満が大きい
 東京とシンガポールの支出額が軒並み上位を占め、マニラがそれに次ぐ。クアラルンプールでは固定電話と固定インターネット、中国3都市では携帯電話の支出が他都市に比べ大きい。インフラのうち電気代は、中国3都市以外の多くの都市で不満と感じられており、電気代削減に資する省エネ商品に商機がある。一方で、中国3都市では電気代が安いと感じられており、固定インターネットが高いと感じられている。

●インフラ費用節約意識を背景に、新旧交えた省エネ取り組みが盛ん
 電気代・電気使用量の削減行動では「こまめに照明を消す」、「コンセントからプラグを抜く」、ガス代・ガス使用量の削減行動では「シャワー回数・時間削減」、水道代・水道使用量の削減行動では「こまめな閉栓」、といった『伝統的』な取り組みが多くの都市で実施率が最も高い。 加えて、電気代・電気使用量の削減行動では「LED照明の導入」、「冷蔵庫・洗濯機等の高効率機器への買い替え」の実施率が多くの都市で3割を超えており、エネルギー効率を重視した機器の導入意欲が高い傾向にある。東京では他の都市に比べ、「何もしていない」比率が高い。

図表1 電気代・電気使用量の削減行動(複数回答)

n=7,072 電気代・電気使用量が「0」以外の人数

【健康関連商材の販売においては、健康意識の啓発と家族の巻き込みがカギ】
●健康不安を感じている人の生活改善意識はすべての都市で9割前後
 自身の健康状態に対する意識には、都市によって差があるものの、健康に不安を感じている人は、どの都市においても8割以上が生活習慣改善の必要性を感じている。生活習慣改善意識の啓発を通じて、生活改善を支援する健康食品やサプリメント、健康器具等の健康関連商材への需要を喚起できる可能性がある。

●生活習慣改善の決断に影響を与えるのは家族
 生活習慣改善の決断に対する影響を与える主体として、すべての都市で6割以上が「家族」を挙げている。一方、中国3都市では医療従事者、インド2都市では友達・同僚からも強く影響を受ける。健康関連商材のプロモーションにおいては、対象者本人だけでなく家族、必要に応じて医療従事者等をも対象とした展開が有用と考える。

図表2 健康意識と生活習慣改善の必要性

健康状態に不安がある人:「将来的に生活習慣病を発症することに不安を感じていますか」の質問に「感じている」、「非常に感じている」、「既に発症している」と回答した人の合計
健康状態に不安がない人:同質問に「全く感じていない」、「感じていない」と回答した人の合計
n=7,186



図表3 生活習慣改善の決断に対する影響者(複数回答)

n=7,186

【「幸福感」の高さは所得と相関、幸福感へのつながりを意識した商品開発を】
●「幸福感」は多くの都市で所得水準と相関
 「とても幸せ」が最も高いのはデリー(45%)、「幸せ」まで含む割合ではジャカルタ(90%)が最も高い。東京、シンガポールは「とても幸せ」比率が1割を切り、「幸せ」まで含んでも4割程度。
 経済発展段階による絶対値の高低はあるが、多くの都市で世帯年収水準と幸福感には正の相関関係がみられる。

●「健康状況」、「家計状況」、「家族関係」は多くの都市で幸福感に大きく影響
幸福感を判断する際に多くの都市で重視される項目は「健康状況」、「家計状況」、「家族関係」など。ベトナム2都市では「自由時間」、東京では「コミュニティ人間関係」の重視度が低く、時間の使い方と整合している。各都市における商品開発やプロモーションの際には、各都市生活者の幸福感を規定する要素を意識すると、訴求力が高まる可能性がある。

図表4 幸福感および幸福感判断に対する個別項目の重視度(指数化)

n=7,186

調査の詳細につきましては、別紙(「2013年度 アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査」結果概要)をご参照ください。
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