IKUMA message
エネルギーと将来を見つめる冷静な目
2014年11月18日 井熊均
にわかに解散選挙の機運が高まってきましたが、日本は多くの政策課題を抱えています。選挙の有る無しに関わらず、一日も早く安定して政権ができ、政策課題の解決に邁進されることを願ってやみません。
私が長年かかわっているエネルギー分野は、政策の重要な転換期にあります。まずは、再生可能エネルギーです。2012年、日本でも固定価格取制度ができ再生可能エネルギーの導入量が急増しました。しかしながら、買取単価の設定方法などの問題で、投資バブルの様相を呈し、電力会社による送電線への接続見送りなどの問題が起きています。まだ、大きな問題になっていませんが、再生可能エネルギーの導入に伴う国民負担についても、近い将来議論が湧きあがることになるでしょう。
次は、原子力発電の再稼働です。九州電力の川内原子力発電所は原子力規制委員会の技術的な承認、地元自治体による同意を経て再稼働に向けて動き出しました。私どもでは、原子力発電については、東日本大震災以前から、将来への継承のために慎重に維持すべき技術、としてきました。しかし、震災前は電力の半分を原子力発電で賄うという極端な計画が策定され、震災後には全国の原子力発電が止まる、など原子力発電の扱いは大きく振れてきました。
日本でもエネルギー政策では多様性が重要とされてきました。そのためには、エネルギーと将来を見つめる冷静な目が必要です。そうした姿勢が実現される政策が動き出すことを心から期待します。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。