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理論や技術の先にあるもの
2014年09月16日 井熊均
今週はテニスの錦織選手の全米オープン決勝進出で日本中が湧き上がりました。決勝では惜しくも優勝を逃しましたが、本当に素晴らしい活躍でした。
かつて、テニスのグランドスラムで日本人選手が決勝に行けるなど夢にも思っていませんでした。それを可能としたのは錦織選手の才能、努力、周囲の方々のサポート、等々いろいろな要因があると思います。その中の一つとして指摘されているのが、アメリカのテニスアカデミーへの留学です。サッカーでも日本人選手がヨーロッパなどのプロチームに行くようになって、ワールドカップへの出場が常態化したように思います。
海外経験はどこの世界でも大切なようです。もちろん、深い知見と経験を持つ指導者を擁する国際的なチームに入れば、世界トップレベルの技やトレーニング方法を学ぶことができます。しかし、スポーツの世界では、だいぶ前から、トレーニング理論の研究やチーム間でのコミュニケーションが進んでいるので、国際的なチームに入ったからといって、見たこともない理論や技術に出会うことは少ないはずです。
国際的なチームと国内チームの間にある最も高い壁は目線だと思います。技術練習やトレーニングは本人の意識で効果が大きく変わります。メニューだけを真似しても成果は期待できません。国際的なチームの指導者は、世界の舞台に立つにはどれだけの厳しさや意識が必要かを知っています。また、周囲にはそうした厳しさや意識で練習に励んでいる仲間がいます。先進的な理論や指導方法に力強い魂を吹き込むのは、国際的なチームにいる人達が作り出す目線なのです。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。