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自由な市場づくりのため

2013年11月06日 井熊均


 先週、30日に電気事業法改正案が衆議院で審議入りし、11月1日に採決されました。民主党政権下で検討されたにもかかわらず、前通常国会で廃案になり、今回の臨時国会で再度審議されることになった法案です。地域独占の硬直的な仕組みを長年維持してきたことで、日本の電力システムはEUに比べて2周くらい遅れることになってしまいました。電力は国民生活、経済活動に欠かせないインフラであると同時に、新エネルギーをはじめとする革新技術の登場、ICTや電気自動車などとの融合によって、今後最も大きな産業の立ち上がりが期待される分野です。そうした分野の重要法案が政争によって廃案とされ、日本は空白の5カ月間を過ごしてしまいました。この間にも世界は動いているのです。



 今回の改正案には、送電網の広域運用機関、電力小売りの全面自由化、発送電分離など重要な項目が含まれています。しかし、これらが機能するかどうかは、今後どれだけ自由な市場づくりを重視して諸制度が作られるかにかかっています。法律の成立を前に、民間サイドでは、電力、ガス、石油、エンジニアリング、ICTなど多くの分野の企業が新しいエネルギー市場での事業展開に向けた動きを開始しています。電気事業法改正案を起点する制度作りはそうした活動の期待に応えるものであって欲しいと心から期待します。



 我々は今年に入ってからも、広域運用機関、地域のエネルギー事業に関する論文、あるいは2020年を目途とした電力市場の方向性に関する書籍を刊行しています。また、国内外でエネルギーに関する新たな活動の立ち上げに力を入れています。法律が成立した後も、自由な市場づくりのために創発戦略センターの真骨頂であるThink & Do の活動を続けて参ります。





「電力システム改革のさきがけとしての広域運用機関」 瀧口 信一郎

http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/7037.pdf


「電力自由化と地域エネルギー事業」 松井 英彰

http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/7041.pdf



[ Ikuma's Photo ]
[写真上]2020年、電力大再編 ―電力改革で変貌する巨大市場―


大震災や自民党政権の復活を受けて、日本のエネルギー市場は大きな転換を迎えようとしている。原子力、再生可能エネルギー、電力自由化という3つの重要政策の行方に注視し、2020年頃に開花する巨大エネルギー市場の新ビジネスを提言している内容です。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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