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中国における天然ガス分散型電源の発展の兆し

2013年11月19日 李建平


 昨年10月に中国国家電網公司が「分散型太陽光発電の系統連係サービスの改善」をはじめとした通達を発表して以来、分散型電源に関する議論と実証実験が活発になっている。再生可能エネルギーによる分散型電源のほかに、再エネに勝る安定性、エネルギー利用の高効率および温室効果ガス排出の少ない環境性を備えている天然ガス分散型電源が注目を集めている。今年の8月に国家発展改革委員会が発表した「分散型電源管理の暫定方法」では、70%以上の総合エネルギー利用効率を誇る地産地消の天然ガスコージェネレーションを推進する対象に挙げている。また、9月に国務院が発表した「大気汚染防止計画」にも、天然ガス分散型電源を奨励すると明言されている。

今のところ中国の天然ガスが一次エネルギー消費に占める割合はわずか4.6%、世界平均値の23.8%より大分低い水準である。近年、中国政府は天然ガスの利用促進をエネルギー構造の改善のみにならず、省エネルギー・排出削減につながる重要な手段だと位置付け、天然ガス分散型電源の発展に本腰を入れ始めている。2011年に発表された「天然ガス分散型電源の発展に関する指導意見」は、12次5カ年計画期間中(2011年~2015年)に約1000件の天然ガス分散型電源モデルプロジェクトを実施し、約10箇所の代表的なモデル地域を整備する目標を示していた。その方針に従い、2012年6月に第一弾のモデルプロジェクト4件が指定された(うち、5大発電会社の一つである華電集団に2件、国有石油・天然ガス企業グループの中海油に1件、北京ガス集団に1件)。

一方、国家電網や南方電網(中国の送配電を独占する二つの系列)は分散型電源の導入を支援する姿勢を示したものの、依然として分散型電源が本格的に普及できるかどうかは電力系統への接続の行方次第である。系統安定性への影響や売電価格などの課題が解決しないため、今まで導入された天然ガス分散型電源はほとんど系統連系が実現できなかった。前述の「分散型電源管理の暫定方法」は、一般企業やエネルギー専門サービス事業者から個人まで含む電力需要家による分散型電源の導入を奨励しているが、これまでの導入実績からみると、電網系列の関連企業、大手発電企業、大手ガス企業など電網側と調整力のある特殊プレーヤーでないと、分散型電源市場への参入は難しい状況である。

冬が近づき、一段と深刻化する大気汚染に中国政府は神経を尖らせている。果たして天然ガス分散型電源は春を迎えられるかに注目したいところだ。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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