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規制改革の切り口

2013年06月26日 井熊均


 「規制改革こそ日本再生の一丁目一番地である」、という認識は国内外でほぼ共有されてきたようです。ただし、実行は容易なことではなく、規制の強固さを例えて、「岩盤」という言葉も使われています。ここで重要なのは、岩盤の実態を見極め、攻略に向けた実行戦略を立てることです。固い岩盤のように見えても、多くの場合、規制は一枚の大きな岩ではなく、複数の岩が絡み合った消波ブロックのような構造をしているからです。



 かつて、公共事業にまつわる既得権は日本で最も大きな権力構造であったと思います。我々は、その原因の一つに、公共団体、関連団体、関連分野の有識者などによる過剰な技術仕様の策定プロセスにある、と訴えました。同時に、公共団体は住民視点に立った基本的な性能や仕様を示し、詳細な仕様は技術力を持った民間企業に任せる「性能発注」を導入すべきとしたのです。民間企業では、大メーカーであっても、機器等の仕様は「その仕様を最もよく理解した者(例えば部品納入事業者)が決めるのが合理的」という理解が浸透していましたから、実効性ついても確信を持っていました。今では、かつて国際価格の2倍、3倍と言われた日本の公共事業の単価は大きく低下しました。その過程で「性能発注」もかなりの貢献を果たしたはずです。従来の発注方式を変えることなく、どこまで仕様を効率化できるか、という議論をしていたら、既得権側との泥沼のような技術論争に巻き込まれていたかもしれません。



 規制改革には、こうした複雑に絡み合ったブロックを解き解す切り口が欠かせません。そのアイデアは現場にあります。固い岩盤を切り崩し、日本を再生に導くためには、アイデアと志を持った人材を集めた実行部隊を組成できるかどうか、が問われているように思うのです。





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[写真]以前、ベストセラーになった事業計画の本を全面リニューアルしました。
これを読めば、誰でも事業計画が書けるようになると思います。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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