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国内のPFI推進政策とインフラ輸出の政策
2013年05月14日 井熊均
2013年3月期の決算で増益を発表する企業がかなりの数に上っています。過去最高益を上げる企業も少なくありません。株価も14000円を超え、リーマンショックから5年近くを経て、日本経済はようやく回復しつつあるように見えます。この2,3年、日本企業の苦戦が各所で報じられてきましたが、これを機に本格的な反攻に転じて欲しいと思います。 一方で、これだけ景気が回復しつつあるにもかかわらず、一部を除き、多くの企業は国内投資に慎重な姿勢を崩していないようです。日本経済の成長率が1%上振れすれば、経済規模は5兆円増加します。中小規模の新興国一国の規模に匹敵するにもかかわらず、海外への生産移転などの動きは変わりません。最大の理由は、日本企業が日本経済の継続的な成長に確信を持てないでいるからでしょう。企業業績の回復が従業員の給与増へと伝播していけば日本経済への信頼も高まるのでしょうが、企業はグローバル競争の視点からコストを見ていますから楽観はできません。 経済の回復が成長のイメージに結びつくには、日本発のモデルを積極的に生み出し、それがグローバル市場で展開される、というクロスボーダーの政策シナリオを打ち出す必要があります。例えば、私も数多く関わってきたPFIが成長戦略の一つとして取り上げられることになりました。しかし、国内外両方の市場を経験した立場からすると、国内のPFI推進政策とインフラ輸出の政策を一体的に動かせば、日本として競争力をもっと高められるのに、と思うことしばしばです。同時に、海外市場のセンスが日本に取り込まれ、国内のインフラ事業の効率化にも貢献できるようにも思います。 誰が見ても日本には世界に誇れることがたくさんあります。全ての政策をクロスボーダーシナリオで捉え、日本発のモデルを世界に波及する、という気持ちで取り組めば成長の可能性はまだまだあります。 | |
[ Ikuma's Photo ] マレーシアのプトラジャヤの写真です。 日本にも例がないような大規模かつ壮麗な都市開発です。 |
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。