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電力分野の改革

2013年04月09日 井熊均



政府は、電力システム改革に関する政策方針を決定しました。念願だった電力小売りの全面自由化はもちろんのこと、日本では実現不可能と思われたこともある発送電分離、さらには広域の系統運用などが含まれた積極的な内容です。電力システム改革委員会の議論を経て、政府がこうした政策を受け入れたことを高く評価したいと思います。

一方、改革案に書かれた内容の多くは既に海外で実施されています。国を超えた電力事業の合掌連携が進む欧州など見ると、日本は周回遅れどころか二周遅れくらいの感を受けます。昨今、あらゆる産業はグローバル市場で競っています。規制緩和は新たな事業者やビジネスを生み出すので、規制緩和で乗り遅れることは、グローバルな産業競争での出遅れを意味します。実際に、日本は再生可能エネルギーやスマート化のための製品開発などで出遅れています。

10年以上出遅れた日本にとって、今回の改革は巻き返しの最後のチャンスと言えます。エネルギー分野では、ITとの融合、ダウンサイジング、低炭素化など、歴史的な革新が起こりつつあるからです。日本が世界トップレベルの技術を持っていることは間違いないので、改革を一気に進めればグローバルな革新をリードすることも可能です。

「目途」、「目指す」など曖昧な言葉はありますが、まずは、スケジュールを前倒しするくらいの勢いで改革を進めることが必要です。その上で、スマートシティなどの分野で実施段階にある事業については特区指定するなどして、スケジュールに先んじることも検討して欲しいと思います。

金融分野では異次元の金融緩和が始まりました。その大胆さに負けないように電力分野での改革を進めることが日本の明日を拓くのだと思います。


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千鳥ヶ淵の桜の枝ぶりは何時みても見事です。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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