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電力システムの改革
2013年02月13日 井熊均
その際、二つのことを念頭に置くことが必要です。 一つ目は、10年前にとん挫した電力自由化の轍を踏まないことです。今回の報告書には、1995年から始まった電力自由化の計画に含まれていた改革案が多く盛り込まれています。言い換えると、実行に向けた周到な計画があってこそ新規性のある改革案となることができます。そのためには、10年前の自由化を頓挫させた、既得権側から政策サイドへの非公開のアプローチを厳しく制約することが必要です。 二つ目は、周回遅れを取り戻す新機軸を強化することです。海外では10年以上前から、電力システムが改革されているのですから、日本が周回遅れで改革を行っても、国際競争力を高める電力システムや産業が生まれることはありません。一方、電力システムは、ダウンサイジングテクノロジーとICTとの融合によって、最大級のグローバル産業創出の場となっています。今般の改革に、そうした場を盛り上げるための策を織り込めば、日本が世界をリードできる可能性もあります。そのための解は、電力会社を始めとする供給サイドではなく、スマートハウス、電気自動車、を世界に先駆けて受け入れる賢い国民の側にあります。 効率的で安心でき、次世代産業創出の場となるエネルギー市場が生まれることを願ってやみません。 [写真下]冬の軽井沢で撮った、樹氷です。厳しかった今年の冬がうかがえます。 ![]() |