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大胆な改革
2013年01月16日 井熊均
今年もよろしくお願い申し上げます。 昨年末の衆議院選挙での政権交代を受け、日本は久方ぶりに株価や円相場の明るいニュースに包まれて新年を迎えることができました。この勢いを持続あるいは加速して、2013年を過ごせることを期待します。 一方で、新政権の経済政策には、既に、公共事業頼りの旧来の政策ではないか、などの懸念が示されています。昨年末までの経済情勢を考えれば、一時のカンフル剤が必要であることは否定しません。しかし、体質を変えなければ、カンフル剤の効果は早晩絶え、副作用ばかりが目立つようになります。 今の日本に最も必要なのは、日本が変わることへの世界中からの信頼感を獲得することです。試金石となるのは、経済規模が大きいにもかかわらず、規制などにより成長が阻まれてきた分野での大胆な改革です。その代表は農業と電力でしょう。農業への参入障壁は、新規の事業者に足かせを嵌めるだけでなく、業界としての供給力すら奪いつつあります。今更、規制を続けることは日本の農業を守るどころか衰退に追いやることになります。電力市場は、ICTとの融合により、今後最も盛んに新しいサービスやビジネスが誕生する分野です。日本もスマートグリッド関連の技術に多くの政策資金を投入していますが、このままではせっかくの技術やサービスの活躍の場がない、という事態にもなりかねません。 イギリスでサッチャー改革が盛んだった1980年代後半に、サーコという会社がロンドン市場に上場しました。公共団体からのアウトソーシングを主たる業務とする同社は海外にも進出し、事業規模を当初の何十倍にも拡大しました。政策が市場の信頼を得、企業が成長した好例と言えます。求められているのは、同じような例を日本でいくつ創ることができるか、なのだと思います。 |