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アジアの人達との新たな関係づくり

2012年12月05日 井熊均


今週、バンコクで開催されるイベントに参加するため、スワンナプーム空港にいました。東アジア最大級の規模を誇るターミナルと東南アジアの中心に位置する地の利もあり、スワンナプーム空港には365日、24時間、世界中の国からあらゆる人種の人が何万人も訪れています。

イミグレーションを終えて連れを待っている間、1980年代後半に仕事でタイに来ていた時のことを思い出しました。その頃、日本はアジアの中で特別な存在でした。圧倒的な資金力と技術力を持ち、企業も他国の追随を許さない競争力を持っていました。日本人も世界第二の経済大国に上り詰めた自信に満ちていたように思います。

しかし、そうした地位は今や昔です。経済力で一番は中国です。今後日本との差はますます開いていきます。分野によっては、韓国、台湾の企業と日本企業の技術力の差はほとんどありません。生産力では、東南アジア諸国の力が急速に高まっています。

もちろん、まだまだ日本の経済力、技術力、企業力がトップレベルにあることは確かです。しかし、世界経済の中で隆盛著しい東アジアと日本が一緒に成長していくためには、「日本はアジアの中で普通の国になった」と考えることが不可欠だと考えます。

日本に漂う悲壮感はかつてアジアで圧倒的な地位を有していた頃との比較、成功体験に根差しているように見えます。それが、例えば、技術の分野で横綱相撲にはまりこみ、自らを苦しめることになっているのではないでしょうか。「普通の国になった」、と思うことが成功体験の呪縛を解き放ち、新しい工夫を生み出し、アジアの人達との新たな関係づくりを創り上げることにつながるように思うのです。

今回で、私の今年最後のメルマガとなりました。
今年もお世話になりました。
良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします

[ Ikuma's Photo ]
[写真上]日本の産業の将来方向を問う「性能限界」という本を刊行しました。
「性能限界 -モノづくり日本に立ちはだかるもう一つの壁-」(日刊工業新聞社)
2012年11月発行 ¥1,575(税込)
[写真下]川口マラソン参加メンバー。タイムは全然ですが、ハーフマラソン完走しました。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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