IKUMA message
日本の強みに目を向ける
2012年11月07日 井熊均
大手家電メーカーの苦境は今年度も続き、事業としての行方が懸念されています。しかし、他企業の方々の話聞くと、「家電業界の現状を対岸の火事とは思えない」、と感じている方が少なくありません。そのくらい日本の産業は厳しい局面に立たされています。ビジネスモデル、技術や投資の戦略、国際規格への取り組みなど、色々な敗因分析が行われていますが、こうした反省に立って戦略を練り直せば再起を期せる、と必ずしも思えないのが現実でしょう。「日本が苦境に陥っているのはもっと他の理由があるのではないか」、という疑問が本連載、本書を書くことになったきっかけです。 この本では、性能には二つの限界があると指摘しています。理論的にこれ以上性能が上がらない、という「理論限界」、これ以上性能を上げても人間の体がついていかない「知覚限界」です。こうした壁に直面すると技術開発の投資効果が著しく減少します。そうであるなら、性能向上で失地挽回を図るよりも、もっと違った角度から日本の強みに目を向けよう、というのが本書の趣旨です。 性能に限界があることも、日本にはもっと違った強みがあることも、何十回もグローバル市場を歩いて確信したことです。きっと、日本の産業の再興の役立つのではないかと思っています。 | |
[ Ikuma's Photo ] 秋も深まって参りました。金色に輝く東大の銀杏です。 |
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。