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固定価格買取制度

2012年05月17日 井熊均


昨年より議論されてきた再生可能エネルギーの固定価格買取制度の単価が決まりました。私を含め、関係者の多くが予想したよりもずっと、事業者にとって有利な単価となりました。「需要家の負担が増える」、という声もありますが、政策運営の問題で日本が再生可能エネルギー後進国になってしまった現状を考えるなら、時宜を捉えた判断であった、と解釈すべきではないでしょうか。

一方、太陽光発電の分野では一部の国の固定価格買取制度の失速と供給過剰により、欧米メーカーの破たんが続いています。これをもって、政策資金に頼った太陽光発電事業を批判する声がありますが、状況を見誤っていると思います。欧米メーカーの破たんの裏で起こっているのは、中国メーカーが世界市場を席巻するという予感です。厳しい価格競争で中国メーカーも十分な利益は出せていませんが彼我の差は鮮明です。

欧米メーカーと中国メーカーの差はどこから生まれたのでしょうか。中国メーカーのトップと意見交換した経験、各国の太陽光発電事業の経緯から言えるのは、どれだけ強いグローバル志向を持っていたか、が明暗を分けたということです。欧州メーカーは国内の固定価格買取制度を起点に事業を立ち上げましたが、国内に十分な市場のなかった中国メーカーは始めからグローバル市場を視野に入れて事業を立ち上げてきたからです。

こうした経緯は、遅まきながら固定価格買取制度が始まった日本で、企業がどのような姿勢で事業に取り組むべきかを示唆しています。すなわち、事業の場は国内であっても、エネルギー分野ではグローバル市場を視野に入れた事業を運営しなくてはいけない、ということです。ジェネラスな単価はそのための資金である、というくらいの意識が必要なのです。

[ Ikuma's Photo ]
全国的にも名前の通っている国分川の鯉のぼりです。昨年は震災の影響で中止となりましたが、今年は雲ひとつ無い青空の下復活しました。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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