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調整段階に入った中国の再生可能エネルギー市場

2012年05月17日 王婷


中国の再生可能エネルギー市場が調整段階に入っている。
2006年「再生可能エネルギー法」の施行、2007年「再生可能エネルギー中長期発展計画」の公表は、中国における再生可能エネルギー産業の事業機会をもたらした。一方、参入者乱立、系統への接続など技術課題などのため、無秩序な発展を呈した面もあった。

太陽光発電については、2011年の全世界の太陽光モジュールの生産量40GWのうち、中国だけで30GWを超えた。一方、全世界での新増容量は22GWにとどまり、生産量が需要を上回っている。このため、2011年にはシリコンやパネルの市場価格は前年比で最大50%低下し、代表的な中国太陽光発電装置メーカーは非常に厳しい経営に直面した。天威の営業収入は前年比30%低下、利益は前年比94%低下した。賽維LDKやサンテックは、それぞれ6億元、10億元の営業損を計上し、リストラを余儀なくされた。

最近では、国営企業が代表的な太陽光発電装置メーカーを買収しようとする動きが出ている。さらに、単にメーカーを買収して製造に乗り出すばかりでなく、例えば、電力会社が買収によって太陽光発電事業を展開する計画が報道されるなど、太陽光発電分野では企業の再編が加速している。

風力発電市場も同様である。2011年全世界の風力発電容量237.7GWのうち中国は26.2%を占め、アメリカとドイツを超えて世界1位となった。しかし、中国国内では系統への接続の問題により、3分の1の風力発電所が稼動できていないという。また、稼働時間が年間1600時間を下回るプロジェクトがあるなど、稼働率が低く、事業の採算性が低い。政府補助とCDMスキームが徐々に利用できなくなる中で、市場の再編が進められている。

こうした中、再エネの発展を阻む根本的な技術的課題や制度的課題へ取り組む動きも出てきている。例えば、再生可能エネルギーの系統への接続、総合的利用を実証検証するプロジェクトが、2012年5月に山東省で行われることが決定した。山東電力所管の煙台の長島県において、洋上発電、潮汐発電、コジェネレーション、太陽光発電、蓄熱などを組み合わせて電力供給を行う事業である。島の全電力需要の60%を再生可能エネルギーで供給する計画だという。

中国では、一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を、2020年には20%にする目標を掲げている。今回の市場調整とともに、再エネの発展を促すような技術開発や制度設計ができれば、今後、中国の再エネ市場は積極的で秩序ある発展を期待できるだろう。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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