オピニオン リオ+20に向けて 2012年01月31日 足達英一郎2012年6月20~22日の3日間、ブラジルのリオデジャネイロで、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催されます。1992年には、同じ地で「国連環境開発会議(地球サミット)」が開催され、「環境と開発に関するリオ宣言」やリオ宣言を具体化するための行動計画である「アジェンダ21」が採択されました。気候変動枠組条約や生物多様性条約が署名されるなど、地球環境保全や持続可能な開発の考え方が普及する出発点となりました。その10年後、2002年には南アフリカのヨハネスブルグで「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」が開催され、持続可能な開発の概念に貧困問題などの社会的側面が統合されることになりました。さて、1992年の地球サミットから20周年を迎える機会に開催される今年の「リオ+20」では、「持続可能な開発および貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」、「持続可能な開発のための制度的枠組み」を主要テーマにすることが決定しており、成果が政治的文書として採択される予定です。わが国では、「グリーン経済」というと「環境技術を核に成長を実現する経済」というイメージが先行していますが、既に公表されている成果文書原案などを見ると「規制や税などを含む政策のあり方」や「消費者意識などを含む市場のあり方」も重要な論点です。残念ながら、この20年のあいだにも、地球と社会の持続可能性は劣化してしまいました。危機感の必要性は確実に大きくなっているのです。深刻な政治不信・行政不信が渦巻く一方で、市民セクターの存在が希薄な今の日本で、政策や市場にまで視野を広げることは必ずしも容易ではありません。しかし「持続可能な開発」の脈絡でも、この国がガラパゴス化することがないよう、会議の行方に注目していきたいと思います。※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。