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Business & Economic Review 2011年2月号

【特集 グリーン・グロース実現への道】
グリーン・グロースで経済成長と環境の両立を

2011年01月25日 湯元健治


  1. はじめに
    世界経済は、2008年秋のリーマン・ショックを契機に、未曾有の同時不況に突入した。1930年代の世界同時不況に匹敵する「100年に1度」とも形容される経済・金融危機が世界中を瞬く
    間に飲み込んだ。危機の震源地となったアメリカ、欧州諸国はもとより中国、韓国、わが国でも、この経済・金融危機を乗り切るために、金融面での大胆な緩和政策をはじめ、金融機関の不良債権処理に向けた公的資金注入、財政面からの大幅な歳出拡大策など、およそ考えられ得る政策を総動員した。各国の発動した大胆な財政政策のなかでも注目されたのが「グリーン・ニューディール(注1)」と呼ばれた環境・新エネルギー分野への公共投資である。わが国でも同分野は「グリーン・イノベーション」という呼び名で政府の新成長戦略の重要な柱となっている。
    こうした経済対策の効果もあって、世界経済は2009年春頃を底に回復に向かった。しかし、回復の原動力はエコカーや省エネ家電などに対する補助金・税優遇など、あくまでも短期的な需要押し上げを狙った政策効果であって、財政面の制約が顕在化し各国政府が補助金を打ち切らざるを得なくなった2010年後半には、政策効果の一巡から世界経済の回復テンポは鈍化した。
    以下では、地球温暖化問題への取り組みと持続的な経済成長をいかに両立させるか(本稿では、以下「グリーン・グロース(注2)」と呼ぶ)という観点から主要国政府やわが国政府が取り組む環境戦略を概観するとともに、わが国がグリーン・グロースを実現するための課題を指摘したい。

    (注1)一般的に、環境や再生可能エネルギー分野への投資により、短期的には景気刺激・雇用創出を図り、長期的には環境負荷の小さい産業構造・社会構造(低炭素社会)への変革を目指す政策を指す。
    (注2)日本総合研究所は、2010年4月に環境・エネルギー分野を所管する新組織グリーン・グロース・オフィス(OGGI: Office for Green Growth and Business Integrity)を立ち上げ、グリーン・グロースの実現に取り組んでいる。
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