コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

IKUMA message

景気低迷を食い止めようと政府は5兆円規模の...

2010年10月13日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2010/10/13)
景気低迷を食い止めようと政府は5兆円規模の補正予算を柱とする経済対策を立ち上げました。日本の現状を考えると、是非とも効果を上げて欲しい、と願うばかりです。しかし、こうした政策で日本経済の基盤が強化されると思う人は少ない、というのも一面の事実ではないでしょうか。目先の対策ではどうしようもない根本的な問題が日本経済を蝕んでいると思うからです。その最大の原因は、この国が何で生きていくか、を見失っていることにあります。

シンガポールに行くと、隆盛を謳歌しながらも、「資源のないシンガポールには人材しかない」という言葉を頻繁に聞くことができます。地下資源だけでなく、農産物のような地上資源すら自ら賄うことができない日本も置かれた状況は同じです。また、かつて日本も同じことを言い、実行していた時代があります。しかし、残念ながら、明治以来、今ほど、国を背負って立つ強い人材の育成、というテーマを見失っている時代はないでしょう。

30代になって仕事で欧米に行き、勉学はもとより、スポーツ、教養、はては日常まで高い意識を持って生活するエリートを見て感銘しました。今の中国のエリート層にもそうした姿に通じる意識があるように感じます。一方、日本は1980年代にジャパン・アズNo.1と言われたことに舞い上がり、この国が大切にしてきた人材育成の基盤を劣化させる、という愚かなかじ取りをしてしまいました。日本経済の窮状の最大の原因はこの点にあると思います。

唯一とも言える人的資源への投資を緩めてしまったのであれば、国の成長が鈍化するのは当たり前です。また、対症療法的な政策によって事態が本質的に改善することは期待できません。求められているのは「コンクリートから人へ」という言葉の本当の意味を反映した官民を挙げた取り組みなのです。

[ Ikuma's Photo ]
[写真上]讃岐藩主松平家ゆかりの香川県高松市栗林公園の中で食事をするという光栄に預かりました。最近海外に行くことが多くなっていますが、こうしたどこの国にもない日本の美しさを振り返ることが大切だと思いました。
特別名勝 栗林公園
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ