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昨年の夏、国民の大きな期待を背負って……

2010年06月08日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2010/06/08)
昨年の夏、国民の大きな期待を背負って船出した鳩山政権はわずか8カ月余で終焉してしまいました。自民党時代から数えると、実に4代連続で一国の首相が政権を1年間続けられなかった、という異常な事態です。海外に目を転じると、アメリカでは就任直後に比べ支持率を大きく下げたとはいえ、オバマ大統領は厳しい環境の中で果敢な政策運営を続けているように見えます。中国の胡錦濤、温家宝政権の安定した政治運営は、鄧小平以来の政治体制の円熟を感じさせます。

彼我を比較すれば、日本はリーダーを育てるという機能において重大な問題を抱えていると考えざるを得ません。

アメリカで大統領になるには1年に及ぶ予備選を戦い抜かなくてはなりません。世界一の大国のリーダーとして選出されるためには、本選挙以前の段階で、尋常でない精神力が求められることは容易に想像できます。中国はリーダー輩出のための競争メカニズムを作り上げた唯一の共産党一党独裁国家です。トップの座に至るためには、若い頃から厳しい選抜があるとされます。そして、両国ともリーダーを目指す人材を育成するための優れた教育基盤があり、人材育成に大きな投資を行っています。

翻って、日本を見ると、教育、政治等の分野でポピュリズムが蔓延しています。企業の中でも、リーダーの育成より和が重んじられる面がありますし、家庭でも、高い目線を教えようとする風潮が薄れているように見えます。政治の世界でのリーダーシップの不在は、こうした世相の反映に過ぎないのです。政治の現状を批判するだけではなく、足元に目を向け、一時の摩擦や痛みに耐えようとする姿勢が国民全体に求められているのだと思います。

[ Ikuma's Photo ]
[写真上]千葉県御宿の岬に立つ日墨友好の碑です。400年前、千葉沖で遭難したメキシコ船の乗組員300人余に対して御宿の村民が献身的な救助に当たったと言われます。当時の日本で、小さな漁村にまで清廉な精神が宿っていたことの現れと言えます。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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