Business & Economic Review 2010年4月号
【特集 金融危機後の欧州経済】
ユーロ圏各国の財政悪化をどうみるか
2010年03月25日 石川誠
1.はじめに
昨今の世界的な金融・経済危機をきっかけに、ユーロ圏各国で財政悪化が加速している。2010年は加盟16カ国すべてにおいて、共通の財政運営ルールである「安定・成長協定」に抵触する公算が大きくなっている。
とりわけ、2009年秋以降は、統計粉飾問題も絡んで、ギリシャの財政状況と再建の可否に市場の関心が集まり、これがユーロ加盟国間での長期金利のバラツキ、さらには共通通貨ユーロの下落傾向の大きな要因となっている。
本稿では、ユーロ圏各国の財政問題について、①問題の実状、②ユーロ圏にとっての財政問題の重要性を整理したうえで、今後の行方について展望した。