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オバマ大統領が提示した金融規制案に対して...

2010年03月09日 井熊均



「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2010/03/09)
オバマ大統領が提示した金融規制案に対してEUなどから反発が示されています。2年前のような金融危機を起こさないためにも、あるべき政策だと思うのですが、なかなか国際的なコンセンサスがとれません。ここで気になるのは、国際協調の必要性と功罪です。同じような話は、昨年末のCOP15に関する議論でも見られました。進むべき方向は正しくても、特定の国が突出すれば、世界全体から見た効果は薄くなり、当該国に立地する企業がより少ない負担や事業上の自由度を求めて他国に流出してしまう、という意見が「協調」を阻みます。

一見まっとうに見える指摘ですが、根拠が怪しく思えるところもあります。まず、一部の国や地域が先行しても何らかの効果はあるはずですし、プロセスとして部分的にスタートするというアプローチは妥当なはずです。そこでは協調と横並びが混同されているように思います。金融でも環境でも、ある程度のコンセンサスができていることを前提とすれば、先進的な動きを避け、導入が遅れた国での事業活動を強化せざるを得ないほどグローバル企業は愚かなのでしょうか。

一方、協調には副作用もあります。協調にこだわる余りに貴重な時間を失ってしまうことです。環境分野では時間を失うことによるデメリットは一部の国が参加しないことによるデメリットより十分に大きくなり得ると思います。

協調に縛られたコンセンサスのとり方には、どこか特定の国が世界をリードしてきた時代の名残を感じてしまいます。新興国の台頭で多極化する中、今までとは違った動的なバランスが求められているように思います。

※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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