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2010年3月期に向けて企業収益が回復してきました。

2010年02月09日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2010/02/09)
2010年3月期に向けて企業収益が回復してきました。しかし、金融危機以前の収益レベルに戻ると考えている企業は稀です。中国を中心とした新興国の需要はありますが、そもそも先進国の経済規模はいまだ世界の過半を占めるのですから、それだけで世界経済が数年前までの好調さに戻ることはありません。そう考えた時、我々はこの四半世紀の間、壮大なバブルのさ中にいたのではないかと思うことがあります。冷戦終了、世界的な公共資産の開放などによる過渡的な需要です。BRIC’s市場の多くは前者によるところが大ですし、この20年間東京で行われた大型開発で後者の影響によるものはかなりの割合を占めます。

今のところ無尽蔵のように見える中国の需要もいずれは落ち着く時が来るでしょうし、インドが中国に続くというのはいまだ仮説を含んでいます。そうであれば、世界が考えなくてはいけないのは、将来の賢明な成長に向けた基盤作りなのだと思いますが、ひとたびバブルを知ってしまった経済は、どこか、今でも過去のような狂乱に期待する向きがあります。市場主義の盟主アメリカは一昨年のオバマ大統領誕生で、以前の行き過ぎた市場志向からの転換や地球環境の保全への賛同が期待されましたが、日本人には当然に思える保険制度すら成立が難しいようですし、環境問題への取り組みも国として真剣に取り組んでいるようには見えません。

これまで世界経済を引っ張ってきた先進国に問われているのは、大きな時代の流れを見据えた価値観の転換ができるかどうかです。それができなければ、過去がそうであったように、新しい価値観の発露は辺境から生まれる、という歴史を繰り返すことになるのでしょう。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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