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半世紀余にわたりフラッグ・キャリアとして日本の空をリード...

2010年01月26日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2010/01/26)
半世紀余にわたりフラッグ・キャリアとして日本の空をリードしてきた日本航空が会社更生法を申請しました。今後、厳しい改革は避けられないでしょうが、再び日本を代表する航空会社として甦ることを心から祈ります。

同社が今日に至った理由として日本の空港政策の問題点が指摘されています。一体性に欠けた交通政策や地方へのばら撒き政策です。飛行機が移動手段の一つであることを考えると、最適な交通システムは飛行機、船舶、鉄道、自動車の組み合わせによって構成されるはずです。しかし、飛行場と港湾はばら撒き政策によって国際競争とかけ離れた施設が日本中に建設されてしまいました。鉄道は民営化によって新幹線や都市部のインフラ、技術は充実したものの、地方路線は切り捨てられ、貨物も足かせを背負いました。道路は利権の温床となり稼働率の低い道路が次々と建設されました。狭い国土、複雑な地形、高い人口密度、など特異な条件を持つ日本で最適な交通システムを構築することができたのなら、今頃世界的なインフラビジネスの隆盛の中で大きな差別性となっていたでしょう。

日本の交通システムを非効率化せしめた原因は官僚主導の政策運営である、とする指摘を耳にします。しかし、シンクタンク業界に20年以上身を置いた経験から言えば、中央省庁の段階では焦点が定まっていたにもかかわらず、ばら撒き型に堕してしまった政策をいくつか見ました。その原因は政治による地方への利益誘導だと思います。省庁の壁を超えた交通システムの検討ができなかったのも政治主導のあり方に問題があったことが一つの理由でしょう。

交通分野だけを見ても政治主導とは何かを考えなくてはいけないことが分かります。フラッグ・キャリアの再生と並行して、本当の政治主導による次世代に向けた交通インフラづくりのための検討が始まることを期待します。
[ Ikuma's Photo ]
[写真上]軽井沢のスキー場の頂上から見た浅間山です。高いところに行くと、軽井沢が浅間の山麓の町だということが分かります。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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