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Business & Economic Review 1995年09月号

【戦後50年特集 論文】
創造的自己改革時代の到来

1995年08月25日 調査部 宮脇淳


戦後50年をかけて築き上げてきた既存システム全体が、経済・社会の成熟化や国際化の進展など大きな時代のうねりのなかで、深刻な制度疲労を起こしている。これまでに経験したことのないこうした苦境を乗り越え、「活力ある高齢化社会」、「国際社会に開かれた日本」を実現していくためには、これまでの既得権保護・課題先送り型体質から脱却し、新たな枠組みを自ら構築する「創造的自己改革」に取り組む必要がある。

その実現にあたって第1のテーマとなるのが、「規制撤廃・緩和」のさらなる推進である。内外を問わず日本経済を魅力的な存在とするためには、市場原理に基づく公正な競争が実現する環境を整備することが必要となる。

しかし、そうした規制撤廃・緩和の根底に横たわる本質的課題が、「官」と「民」の領域そのものの見直しである。経済が未成熟で資本蓄積が充分でなかった戦後の「発展途上段階」では、民間の活動を補完する意味で、公的部門が果たした役割は大きかった。しかし、世界有数の経済大国となり成熟期を迎えた現在、民間でも供給できる準公共財の分野を中心に、「官」の担うべき領域の見直しを行い、日本経済の活性化に向けて、創意工夫に根ざす民間活力活用の土壌そのもののを拡大することが求められる。

この「官」の領域の見直しにあたっては「財政改革」・「地方主権」の確立が不可欠である。「官」の領域の拡大を資金面から支えてきたのが財政であり、さらに画一型・均一型の中央集権によるタテ割り行政から脱却、地方の特性・自主性を生かした「シビル・ミニマム」中心の行政システムを確立するため重要な鍵を握るのが「地方主権」だからである。

もちろん、以上のような行財政全体にわたる改革の実現には、「民」における安易な官依存体質からの脱皮・自己責任意識の確立とともに、政治の強いリーダーシップ、そして国会審議の活性化が不可欠となる。 現状の日本経済・社会は、規制や画一的な行政等平衡状況に進み過ぎている。今こそ活力を生み出すため、平衡状況を打ち破り、個人、企業、地方も自由競争社会をつくり上げる努力を行わなければならない。そうした自由競争の揺らぎの中で、はじめて新しい芽を求めていくことが可能となる。
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