Business & Economic Review 1996年04月号
【PLANNING & DEVELOPMENT】
ボランティア活動の振興に向けて
1996年03月25日 社会システム研究部 矢ケ崎紀子
阪神・淡路大震災という大惨事が引き金となって、市民によるボランティア活動への社会的な関心が高まっている。大震災直後から被災地に入り献身的な活動を続けるボランティア達の姿が新聞やテレビ等で大きく報道され、あたかも1995年は“ボランティア元年”であるかのようであった。実は、それ以前から、わが国のボランティア活動は着実に発展してきている。わが国においても、市民が自発的に社会的な活動を行うこと(=民間非営利活動)が根付き始めているのである。本稿では、その一層の振興のためにどのような社会的支援が必要であるのかについていくつかの方向性を提言する。
1.ボランティア活動の現状
はじめに、ボランティア活動を行う団体や個人の数が増加している反面、未だ希望者の一部しか活動に参加していない現状を明らかにする。
(1)ボランティア活動者数の増加
ボランティア活動を行っている団体や人数を網羅的に把握したデータはないが、地域の社会福祉協議会が主に福祉の分野で活動する団体・個人を中心として把握している数は毎年増加している。平成6年3月現在のボランティア団体数は60,738、ボランティア活動者総数は4,997,496人に達している。活動者数のうち、団体に所属して活動している人が4,823,261人と96.5%を占めている。国際協力の分野のボランティア活動も活発化してきており、平成7年度の郵政省の国際ボランティア貯金の配分事業に対して1,674万件もの応募があり、その中から235の民間海外援助団体(NGO)の行う305事業に対して資金援助がなされた。また、環境事業団がとりまとめた名簿によると、平成7年度末現在で、全国の民間環境保全活動団体は4,506団体に達している。
(2)ボランティア活動への参加意向
平成5年11月の「生涯学習とボランティア活動に関する世論調査」(内閣総理大臣官房広報室)によると、ボランティア活動に関心を持っている人の割合が61.9%であるのに対して、実際にボランティア活動を行っている人の割合は9.9%と低い水準であった。平成6年6月にNHKが実施した世論調査においても、一日体験ボランティアに参加してみたい人の割合が55.4%であるのに対して、現在ボランティア活動を行っている人の割合は8.7%であるという結果が示されている。ボランティア団体や活動者数は増加しているものの、実際にはボランティア活動希望者の1割強しか活動していない実態がある。
2.ボランティア活動振興の課題
次に、ボランティア活動に参加したい意向を持ちながら参加していない人を実際の活動に結びつけ、ボランティア活動の振興を大きな社会的潮流としていくための課題を示す。
(1)より多くの市民が活動に参加するために
ボランティア活動への参加意向を持つ人を実際の活動に結びつけるためには、「参加の促進」と「参加のための環境整備」という大きく2つの課題がある。「参加の促進」を図るためには、ボランティア活動に対する情報提供、多様な活動プログラムづくり、参加のきっかけづくり、参加希望者を希望する活動と結びつけるマッチング等が必要である。また、「参加のための環境整備」を図るためには、ボランティア活動への国民の理解の向上、勤労者や学生が参加しやすい休暇制度の普及、活動時の事故への対応、相談機狽フ充実等が必要であると考えられる。
(2)多様な活動プログラムの提供が緊急課題
ボランティア活動の底上げを図るためには、これらの課題に同時並行的に取り組むことが望ましいが、ボランティア活動に対する機運が高まっている現在では、前述の課題の中でも、多様な活動プログラムづくりにプライオリティを置く必要がある。その理由は二つある。一つは、ボランティア活動に対する機運の高まりによって、参加への潜在的なニーズが従来よりも速いテンポで顕在化する可柏ォが高いことである。このため、今まで以上に大量な活動プログラムが必要となってくることが見込まれる。平成7年3月に朝日新聞社が神戸市等の被災地で活動するボランティアを対象に行った意識調査(個別面接方式、709人回答)においては、約7割の人が初めてボランティア活動を経験し、約8割がさらに活動を続けたいと回答している。第二の理由は、阪神・淡路大震災を契機として、従来子育てが一段落した主婦層が主な担い手であったボランティア活動に、若い世代を始めとして様々な層の市民が参加するようになったことである。すなわち、多様な年代、ライフスタイル、参加意欲を持った幅広い市民層が、ボランティア活動への参加を希望するようになったのである。これに対して、多様な活動プログラムが提供される必要がある。
(3)ボランティア団体への社会的支援の必要性
多様な活動プログラムの提供がプライオリティの高い課題であることを述べたが、では、これはだれによって提供されることが望ましいのであろうか。多くの提供主体の中でも、ボランティア団体、特にある一定の条件を満たす団体(後述するようにNPOと呼ぶ)が、市民にとって魅力ある活動プログラムの主力となることが望ましい。このために社会的支援が必要となってくる。
[1]市民のニーズを最も良く知るボランティア団体
従来ボランティア活動のプログラムは、社会福祉施設、学校、自治会、行政、ボランティア団体等によって提供されてきたが、多様な市民層に魅力のある活動プログラムを助ェに提供していくためには、市民のニーズを最もよく把握しているボランティア団体がその主力となる必要がある。すなわち、市民自身が企画・実施するボランティア活動プログラムの質量ともの拡充を図り、これによって、より多くの市民が活動に参加できるようにすることである。また、これらの活動を通じて、市民の社会参加が実現されていくことになる。
[2]多様な活動プログラムの提供主体として最も期待されるNPO
ボランティア団体は、様々な活動内容を持ち、組織形態の面でも、仲良しグループ的な集まりから法人格を取得しているものまで幅広い。この中で、多様な活動プログラムの提供主体として期待できるタイプのボランティア団体がある。これについて、ボランティア団体の発展プロセスの観点から説明する。多くのボランティア団体の始まりは、ある問題に直面した数人がサークル的に集まった草の根グループの場合が多い。当初のメンバーは、共通の理念や原体験を有することが多く、強い絆で活動を展開していく。そして、活動を続けていく過程で様々な問題に直面しながら、新しい活動者を迎え、次第に活動量が拡大し、活動の内容についても専門性の向上が図られていく。同時に、組織としての体裁が確立されていく。非常に単純化したイメージで捉えるならば、このように発展していくボランティア団体が多いものと考えられる。もちろん、市民の自発的な活動であるから、意図的に活動を拡充させる道を選ばずに、ある特定の規模を最適と判断し、これを維持する場合もある。このようなプロセスの中で、多様な活動プログラムづくりに大きく貢献すると期待される段階のものがある。それは、発展プロセスの最終段階に位置し、
・ 一定の場所に事務所・拠点を有する
・ 役員や専従スタッフを擁した事務局がある
・ 活動が計画性をもってなされている
・ 活動結果報告や決算報告等の情報を他者に公開できる
といった条件を満たす団体である。これを、特にNPO(Non-Profit Organization、民間非営利団体)と呼ぶこととする。市民の自発的な社会参加活動の歴史の浅いわが国においては、ボランティア団体、NPO、市民団体等の様々な名称が定義されることなく使用されているのが現状であるが、ここでは、組織的な安定度を獲得し、社会において継続性のある存在になるに至ったという特性を強調して、このような団体を民間非営利組織(=NPO)と定義する。
[3]NPOへの社会的支援の必要性
多様な活動プログラムを提供するためには、地域のニーズの発見、これに対応する活動プログラムの企画、そして、その実施のために必要な調整を行い、ボランティアを受け入れ、財源の手当をする等といったことが必要になってくる。言わば一つの社会的事業を立ち上げるといった内容の活動は、団体内である程度の役割分担がなされ、一定の活動拠点を持ち、さらに継続した活動を展開してきたことによって社会的に信頼されやすい素地のあるNPOであれば可狽ニなるであろう。 ボランティア活動の振興という大きな社会的潮流を起こすためには、NPOと呼ぶにふさわしい活動内容と組織形態を有する団体の数を増やし、その活動を発展させていくことがキーポイントとなるのである。ボランティア団体の発展プロセスにおいて述べた通り、ボランティア団体がNPOと呼ぶにふさわしいレベルに達するには、多くのハードルがある。現在多くのNPOは独力でこのハードルに立ち向かっているが、法税制度面の問題等のように、NPOだけでは越えられないものがある。また、地域に役立つ活動プログラムを企画した後、人材や資金等の手当に奔走しなければならず、本来の活動に着手できないNPOもある。このような状況に対して、NPOの主体性を損ねない範囲で社会的な支援が行われることによって、より多くのボランティア団体がNPOのレベルに達し、魅力ある活動プログラムを展開することができるものと考えられる。
3.NPO活動の振興に向けて
では、このようなNPOの数を増やし、その活動の振興を図るためには、どのような方法が考えられるのかについて、以下に述べたい。ここでは、まず、NPOとはどのような団体なのかを明らかにした後、それにふさわしい社会的な支援策の方向性について提言する。 (1)NPOの平均像 全国社会福祉協議会が昨年度1,000団体のNPOと呼ぶにふさわしいボランティア団体を対象に実施した実態調査結果(有効回収率38.7%)から、おおよその平均像をまとめると次の通りである。
【活動面】
[1]活動を開始してから10年未満
[2]活動分野別の主な活動内容
・ 自然環境の保護・保全
調査の実施、出版物・機関誌の発行
・ 文化・スポーツ・コミュニティ活動の振興
出版物・機関誌の発行、市民やボランティアを対象とした啓発活動
・ 社会福祉・保健・医療の増進
対人福祉サービス、ボランティア研修、機関誌の発行
・ 国際協力
専門家の派遣、物資供給、資金助成、
人材交流・育成、市民やボランティアを対象とした啓発活動、機関誌の発行
[3]活動範囲は、地域密着型と海外まで含めた広範囲型に大別される
【組織面】
[1]法人格を持たない任意団体である
[2]一定の場所に連絡可狽ネ事務所があり、団体独自で運営されている(賃貸の場合は平均月額賃料18.9万円)
[3]専従のスタッフや役員は平均10.5人
[4]年間落Z規模は平均4,530万円(年間500万円未満の落Z規模の団体も多い)
[5]収支内訳
【収入】
【支出】
[6]帳簿を作成して会計監査を行っているが、大半が任意団体であるため、税務署への錐垂ヘ行っ ていない
(資料)全国社会福祉協議会資料より作成
(2)NPOの抱える問題点
これらのNPOは活動を行う際に、資金面、人材面、情報面等に関して様々な問題を抱えている。
最も大きな問題点は資金不足である。特に、図・に示す通り、「人件費や事務所維持費等の事務局運営に必要な資金の調達が困難である」団体が50.9%に達している。NPOの平均像で示した通り、NPOの活動に要する資金のうち自己調達している割合は51.2%であり、これ以外は政府・行政組織や民間からの支援で賄われている。しかしながら、政府・行政組織や民間からの資金援助の多くは、NPOに対してではなく、NPOが行う活動に対して支援される。このため、安定的に活動を行うために必要な経常的な経費、すなわち、支出の26.6%を占めているとされる事務所維持費や事務局スタッフの人件費等への手当はなされていないことになる。
次に、NPOが現在受けている社会的支援をみると、「活動資金への助成」が61.2%と最も高くなっており、一方、「人件費への助成」や「事務所維持費への助成」は各々26.9%と22.7%であった(図・参照)。現在2~3割の団体が人件費や事務所維持費への助成を受けていながら、さらに5割以上の団体が資金調達に苦心している実態は、いかに多くのNPOが事務局運営費を求めているかを示していると言えよう。
NPOが今後受けたい社会的支援では、「活動資金への助成」(50.6%)、「人件費への助成」(46.0%)、「事務所維持費への助成」(41.3%)が高くなっており、安定した活動を行うために必要な直接・間接の費用への援助が求められていると言える。また、資金面以外では、「他の団体とのネットワークづくり」(30.5%)、「助成情報の提供」(29.5%)、「ボランティア活動希望者の紹介」(28.2%)、「ボランティア研修機会の提供等」(26.9%)等のャtト面での支援が挙げられていることが注目される(図浮X参照)。
(3)NPOへの社会的支援策の方向性
これまで述べてきたように、ボランティア活動の振興を図るためには、[1]NPOと呼べるレベルのボランティア団体の増加を図ること、[2]NPOが魅力ある活動プログラムを継続して提供できるようにすることの観点から、社会的支援を考える必要がある。このため、NPOの増加を図るための「NPOインキュベーション機煤v、NPOが必要な社会的資源を取り入れながら安定した活動を行うための「インターミディアリー機煤v「コンサルテーション機煤vを社会システムの中にビルト・インさせていくことを提案する。なお、これらの機狽Sう主体は限定されない。NPO活動に何らかのメリットを見出す主体であれば、政府・行政組織、企業、民間団体、市民等のいずれが行ってもよい。各々が自らの資源に基づいた支援の仕方を模索することによって、多様な社会的支援方策が提供され、NPOが自らにふさわしい支援策を選択するようになることが望ましいのである。
[1]NPOインキューベーション機・br>
ボランティア団体がその活動を発展させようとする場合に必要とする支援は、拠点、資金、活動に関する専門的なアドバイス、信用保証等である。これらは、ベンチャービジネス等の育成を図る場合と同様に、やる気のある団体に対して起業時のコストの負担軽減を支援し、同時に必要な専門的な情報を提供することである。ベンチャー企業の育成がわが国の産業の発展に重要であるように、NPO活動のインキュベートを図ることは市民生活の向上に大きく資することが期待される。NPOインキュベーションの場合はビジネス・インキュベーションのように大がかりな施設は必要ではない。拠点については、NPOのメンバーが自由に利用できる空間と連絡のための電話やファクシミリがあれば助ェである。例えば、地域の公民館、コミュニティ施設、学校の空き教室、公共アパートの一室、企業の施設等の、地域の資源を柔軟に利用する方法が考えられる。この中でも、学校施設の利用が可狽ニなって、若い世代が身近でボランティア活動を知る契機となることが期待される。資金面では、活動資金への助成は比較的受けやすいため、事務局運営費への支援が有効であろう。直接資金援助をすることに加えて、企業や市民等の民間からの寄付を集めて再配分する方式も検討されてよい。活動に対する専門的なアドバイスは、NPOが活動の質を高めていくために重要である。わが国のボランティア活動の多くは、“その道の素人”が奮闘している状況であるが、福祉の分野で活動するNPOには、医者・看護婦・保健婦・理学療法士・作業療法士等の専門家のアドバイスによって、活動の方向性を定めて発展してきた事例が多くみられる。信用保証は、これから活動を発展させていこうとする団体には社会に示せる実績がない場合が多く、さらに、NPOの大半は法人格を持っていないために必要となる。この二つの点は、資金助成等の社会的支援を受ける上で大きな障害となっている。例えば、社会的信用を有する第三者機関が、搖籃期にあるNPOが社会的支援を受ける際の信用保証をすることが考えられる。わが国では政府・行政組織のお墨付きを尊重する傾向にあるが、企業等の民間が行ってもよい。NPO活動が盛んな米国では、多くのNPOはビジネスに成功している企業のお墨付きを望んでいる。
[2]インターミディアリー機・br>
現在、多くのNPOは地域において孤軍奮闘している。NPOが独自に地域社会と接点を持って必要な社会資源を支援として取り入れる自助努力は引き続き行われるべきであるが、ヒト、モノ、カネ、情報といった社会的資源を効率的に集めて、適切なNPOに再配分するインターミディアリー(仲介)的な仕組みも必要である。資金援助の面では、既に仲介的な機狽ハたしている機関がある。その代蕪Iなものが共同募金会であるが、最近では企業の中にもこの機狽フ一部を担うものが出てきた。エイボン・プロダクツ社では、1994年から高齢者福祉の増進のために寄付活動を行う「シルバー・サポート・キャンペーン」を開始し、募金額は中央共同募金会を通じて各都道府県の共同募金会に配分されている。このような役割を果たす機関がより多様化することが期待される。また、人材を仲介する機狽熾K要である。NPOとして組織が確立してくると、会計、組織管理、契約等に関する専門的な知識が必要となってくるが、これらの専門家とNPOを結ぶ仕組みも検討に値する。例えば、会計士や弁護士等の全国的な組織が、ボランティアでNPOの相談に対応する等のサービスを行うことも考えられる。一方、ヒト、モノ、カネ、情報の社会資源をNPOにつないでいく仲介機狽Sう第三者機関には、支援を受けるにふさわしいNPOが必要な支援を受けられるようにすることを望みたい。すなわち、活動内容の良いNPOが多くの支援を受け、いい加減な活動や組織管理を行っているNPOに支援はなされないという競争原理が働く必要がある。このため、仲介機狽ハたそうとする機関には、NPOをいかに評価するかという明確な基準を持つことが重要となってくる。NPOの側も、その活動報告、組織概要、決算報告、受けた支援をどのように利用したか等の情報を広く公開する必要がある。この意味で、インターミディアリー(仲介)機狽フ本質は、社会とNPOとが情報を受発信するためのコミュニケーション・チャネルの役割を果たすことであると言える。
[3]コンサルテーション機・br>
NPOの活動は多くのボランティアと、決して高くはない報酬を得ている役員や専従スタッフによって支えられている。政府・行政組織や企業のように、タテ型のネットワークのもとに活動の結果が給与や地位によって報われるという原理ではない。このため、NPOには、これらの組織とは異なるプランニングや組織マネージメントが必要になる。多くのNPOは日常の試行錯誤の中で、自分たちの団体にふさわしいプランニングや組織マネージメントの方法を模索しているが、この努力は並大抵のことではない。ピーター・F・ドラッカー氏が指摘しているように、「非営利組織のマネージメントはビジネスよりも難しい。非営利組織には、ビジネスと違って、業績を測るための利潤というものさしがないからである。」(ピーター・F・ドラッカー編著「非営利組織の自己評価手法」序文より引用)。「利潤」という誰がみても明確な成果を得ることができない民間非営利組織が、何らかの「成果」を生もうとする場合、NPO自身が何を成果として評価するのかを決め、それを測定する手法を持たなければならないのである。NPOの活動が一つの社会的なセクターを形成していると言われている米国では、NPOの独特なニーズに対応するためのコンサルテーション機狽ェ充実している。わが国のNPO活動は緒についた段階であるが、いずれこのような機狽ヘ必要になるものと考えられる。米国のNPOを対象としたコンサルティングの内容は多岐に渡っている。実施する機関の多くは非営利組織であり、提供したサービスにかかるコストに対して助成がなされており、資金的な余裕のないNPOであってもサービスを利用できる仕組みとなっている。わが国においてもアリスセンターや世田谷まちづくりハウス等のNPOを支援するNPOが登場している。このようなNPOとともに、専門的な知識や技術を有する企業等が社会貢献活動の一環としてコンサルテーション機狽Sってもよいと考えられる。
ボランティア活動をボランティアだけで継続していくことは難しい。ボランティア活動が今後も振興していくためには、これを支援する新たな社会システムが必要なのである。これまで述べてきたインキュベーション機煤Aインターミディアリー機煤Aコンサルテーション機箔凾ミ会システムとして組み込むことによってNPO活動の振興を図り、これがボランティア活動全体の発展につながることが望まれる。さらに、ボランティア活動の振興を通じて、市民による市民のための活動が社会の一セクターとして根付くことを期待する。このことが、わが国においても、市民の社会参加の道を開き、これを通じて自立と自己責任の原則のもとで市民社会を実現するための第一歩ともなるのである。