オピニオン
環境カリキュラム
2009年12月22日 中村康朋
わが国では温室効果ガス排出削減の中期目標として2020年までに1990年比25%削減が掲げられ、各産業界で目標達成に向けて尽力していますが、学校もその対象の一つです。学校を取り巻く環境は20年前から比べると今では冷暖房完備が当たり前になるなど、教室の室内環境はよりよいものになりました。しかしそれに伴い、学校でのエネルギー使用量、CO2排出量も増加の傾向にあります。年々増加するCO2排出量に対し、学校では設備を効率のよりよいものに更新する省エネルギー対策とともに、太陽光発電の導入等の新エネルギーの導入も積極的に行われています。
その中で学校の場合、ただ単に省エネルギー機器、新エネルギーを導入するのではなく、教育という観点から各世代にあった様々な環境カリキュラムが考えられます。例えば太陽光発電も教材の一つになります。小学校、中学校の場合は、校内にパネルを設置し、太陽光発電による発電量を表示するだけではなく、その時に外部の電力会社からどのくらいの電気を買っているのか、学校で必要な電気の何割ぐらいを太陽光発電で賄っているのかを、見て実感し、学ぶこともできます。一方で大学にもなりますと、環境カリキュラムの一貫として実際に太陽光発電の設置等、学内外のCO2削減プロジェクトの立ち上げに関わりながら環境について学ぶことも可能です。
今後は単にCO2削減の対策として省エネルギー機器や新エネルギーを導入するのではなく、上記の太陽光発電のように幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と各世代にあった環境カリキュラムを検討していく必要があるのではないでしょうか。教育の場を生かし、各世代で環境カリキュラムに関わりながらCO2削減を実現していく必要があると思います。
※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。