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Business & Economic Review 1999年09月号

【PERSPECTIVES】
外形標準課税導入の方向性

1999年08月25日 調査部 森本美紀子


要約

企業にかかる税の体系、とりわけ課税ベースを見直そうという機運が高まっている。課税ベースの適正化に関する検討は、国税の法人税のみならず、地方税の法人事業税においても進められており、主として、法人事業税に外形標準課税を導入することの意義等についての議論が本格化している。

外形標準課税導入議論の積極化の背景として、景気停滞の長期化に伴う企業収益の悪化によって、地方財政が深刻なダメージを受けていることなどが指摘できる。そもそも、外形標準課税はシャウプ税制創設当初からの重要な検討課題となっており、当社も早くから地方税制改革における検討課題として導入の必要性を指摘してきた(参考:Japan Research Review 1994年9月号「税制改革の基本構造」)。しかしながら、その導入には多くの困難が附随するため、これまで実現されることなく半世紀が経過している。

最近の具体的な動向としては、政府税制調査会(以下、政府税調)において、95年10月に設置された法人課税小委員会で議題の一つに挙げられ、「導入に関する多くの課題を含め、さらに検討を深めるべき」という趣旨の報告がなされた。また、同じく98年5月に設置された地方法人課税小委員会では、具体的な外形基準のあり方や税制度の簡素化、企業経営や雇用への影響等について重点的な検討が行われており、99年7月に最終報告書が提出されたところである。

こうした動きに鑑み、本稿では、外形標準課税導入の方向性を考察することとしたい。まず、現行の法人事業税に関する問題を踏まえて、外形標準課税導入の意義および問題点をまとめる。次に、現在検討されている外形標準課税の具体的なあり方を整理し、海外での導入状況も参考にしながら、いくつかの観点から、フィージビリティの高い課税方法を選択する。そのうえで、外形標準課税を導入した場合における企業の税負担の変化について、事業規模ごとに、また利益計上法人・赤字法人に分けて試算を行う。最後に、外形標準課税導入の必要性を改めて確認するとともに、導入に際してさらに検討すべき課題を提示したい。
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