Business & Economic Review 1999年06月号 【PERSPECTIVES】 銀行への公的資金投入の意義と課題 1999年05月25日 調査部 翁百合要約1998年10月に成立した金融再生関連法では、国が金融機関に対して全額または一部出資することにより、金融機関の再生を図ろうという政策が柱となっている。これは国が金融機関に直接資本注入することによって、(1)金融機関の貸出余力を増加させる、(2)国の信用によって経営悪化した金融機関の取引を確保する、というメカニズムが期待されているからである。しかし、公的資金と経営の関係については、必ずしも体系的に検討されている訳ではない。本稿では、最近成立した二つの法律における自己資本の性格について整理したあと、別掲論文の補論として銀行への公的資金投入と「資本と経営」の関係について考えてみたい。