Business & Economic Review 1999年05月号
【PERSPECTIVES】
中古住宅市場の必要性と整備に向けた課題
1999年04月25日 調査部 土方研也
要約
住宅市場に占める中古住宅の役割をわが国と欧米各国で比べてみると、まず欧米では、中古住宅が新築住宅と並んで重要な地位を占めているのに対して、わが国では、従来、新築住宅が取引の中心であり、中古住宅取引は総じて低調に推移してきた。もっとも、新築住宅の着工戸数が長年にわたり高水準で推移するなか、わが国でも住宅ストックが次第に充実してきている。この点を踏まえてみれば、今後、中古住宅取引市場の整備・拡大等を通じて、住宅ストックの有効活用を図っていくことは、国民経済的観点からみても意義のある取り組みといえよう。
そこで本稿では、まず、わが国の中古住宅取引を巡る環境を展望し、次いで、中古住宅取引市場が定着しているアメリカを参照して、その仕組みを整理したうえで、今後、わが国中古住宅取引市場を整備していくために必要な課題を取りまとめてみた。