Business & Economic Review 1999年04月号
【MANAGEMENT REVIEW】
サプライチェーン時代の情報統合方法論
1999年03月25日 吉田壯太郎、大山紀夫、多部田浩一
要約
日本列島総不況のなか、企業を取り巻く環境はますます厳しい状況にある。
市場環境が、大量生産・大量消費からマス・カスタマイゼーション、メガ・コンペティションへ、また、競争軸が品質・価格からアジリティ(敏捷性)、顧客満足へとパラダイム・シフトしてきており、効率化の視点もこれまでの現場重視あるいは部門最適からスループット重視、全体最適に変わってきている。このような経営環境のなか、企業は生き残りをかけて合併や広範囲にわたる提携を推進したり、経営のスピード向上を目指し、会計処理の早期化・精度向上やサプライチェーン(調達~納品までの基幹業務)の抜本的見直しによる企業間協業を加速させている。
今後の企業競争力を左右するのは、「いかに迅速に経営革新を行えるか」である。この経営革新を行ううえで、キーとなるのが企業内・企業間における「情報統合」である。 「情報統合」とは、「企業活動のなかで発生する計画系情報・実績情報を業務およびシステムの側面で部門や企業を越えて共有化し、戦略的に活用すること」であり、様々な意思決定や経営計画・管理および業務をスピーディかつ正確に実行することが目的である。
本稿では、現在の企業が抱えている問題を明らかにするのとともに、変革が求められている企業の情報システム構築方針・方法、「情報統合」の考え方・方法論について述べたい。