RIM 環太平洋ビジネス情報 2000年4月No.49
台湾の民主化と国営企業民営化
2000年04月01日 さくら総合研究所 上席主任研究員 小林重雄
要約
3月の台湾総統選挙で民主進歩党の陳候補が当選し、55年に亘った国民党統治は奇しくも20世紀最後の年に終わりを告げた。
今後政治改革だけでなく国営企業の民営化が加速されると見られる。台湾の経済、産業は多くの面で国民党の統治手法と密接な繋がりを有していたからである。
第2次大戦後の台湾は政治面では独裁統治、経済面では基幹産業の国有化がなされ、大陸中国と同根、表裏の関係にあるようなレーニン主義的治世が続いていた。
80年代後半から90年代にかけて政治の民主化、台湾化が進行し、連動して国営企業の民営化路線が打ち出された。台湾人の民族主権獲得要求と結びついている。
民主化、台湾化と国営企業民営化は車の両輪の関係にある。今般の新総統誕生で徹底されると見られる国営企業民営化路線の施行現況を考察し、今後の進展を見通す。