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RIM 環太平洋ビジネス情報 2000年7月No.50

進展するアジアの情報通信インフラ整備とEコマース

2000年07月01日 さくら総合研究所 主任研究員 大木登志枝


要約

アジア(NIEs、ASEAN、中国)では、情報通信インフラのデジタル化率、携帯電話の普及率が高い。技術面で後発性の利益を享受して、情報通信インフラ整備を行っているといえよう。

NIEsでは、インターネット、携帯電話の普及率が日本を上回っている。高速インターネット接続サービスの普及度は、台湾を除く3カ国・地域が米国をも超えている。シンガポールでは100%の家庭が、香港では80%の家庭が、高速ネットに接続可能である。韓国では、規制緩和により99年に高速ネットサービス利用者が急増した。台湾では2000年より、普及が本格化する予定である。

シンガポールの電子商取引(Eコマース)をみると、グローバル展開をしているマーケットプレイス型・企業間電子商取引(B2B)が多く存在する。企業と消費者間電子商取引(B2C)は、地理的、文化的理由により、他国ほどは活発ではない模様である。政府の強いリーダーシップのもとで情報化が進展しており、行政のオンラインサービス(G2C)が充実している。また、政府は、2000年に入り、世界に先駆け構築した、国内広帯域ネットワーク「シンガポール ONE」の利用者を増加させるための支援策を打ち出している。

韓国では、国民の消費志向の強さ、30歳以下が7割を占める利用者構成を反映し、世界的にみても、B2Cが活況を帯びている。なかでも、コミュニティー、オークション、ショッピング、金融関連サイトに人気が集まっている。他方、B2Bは、商習慣が阻害要因となって進展しておらず、現段階では、市場規模は B2Cを下回る。しかし、2000年に入って、B2Bが増加しつつあり、市場は拡大していくだろう。

今後アジアでは、WAPやGPRS技術の導入によって、携帯電話によるインターネットの利用が拡大すると予想される。また、衛星通信の利用により、開発途上国における地方でのインターネット利用が進展することが期待される。

アジアのEコマース市場は、まだ小規模ではあるが、世界の主要地域のなかでは、最も高い伸びを示すと予測されている。アジアでもB2Bが、Eコマース市場を牽引していくであろう。また、多言語に対応するサイトの増加により、アジアにおける共通市場が生まれる可能性がある。

アジアのインターネット市場は、日本企業にとっても、ビジネスチャンスが豊富で、今後、この分野における企業提携が増加するだろう。
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