コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

RIM 環太平洋ビジネス情報 2002年1月Vol.2 No.4

自動車メーカーのグローバル展開とアジア戦略

2002年01月01日 環太平洋研究センター 高安健一


要約

  1. 世界の自動車メーカーは、1990年代終盤以降グローバル戦略を強化している。先進工業国のみならずアジア、ラテンアメリカ、東欧などの新興成長地域においても、最適な開発、調達、生産、販売体制の構築と、市場シェアの拡大に鎬を削っている。

  2. グローバル戦略を展開しているグループは2001年末時点で、GMグループ、フォードグループ、ダイムラークライスラーグループ、ルノー・日産グループ、トヨタグループ、フォルクスワーゲン、そしてホンダの七つに絞られている。2002年から2004年にかけて市場に投入される新車種の売れ行きにより、アジアでの勢力図が変わる可能性がある。

  3. グローバル戦略を継続的かつ効率的に立案・実施する体制をいち早く確立したグループが、アジアにおいても優位に立つ。構想から実践の段階に入っているグローバル戦略とアジア戦略を支える体制は、地域と商品/機能の組み合わせのみを念頭に構築されたものではない。それは、(1)世界の特定の拠点に集中すべき機能(セントラリゼーション)と各地域に分散すべき機能(ローカリゼーション)の適切な配分、(2)設計・開発機能のアジアへの移管、(3)複雑化する車種戦略、(4)過剰生産能力問題への対応、(5)自社あるいはグループがもつ無形資産の活用、(6)他地域との連携、(7)新しい生産システムの国内外拠点での共有、などを考慮して構築されなければならない。これらは、市場ニーズに適合した自動車を、世界の多くの国で、適切な品質、価格、タイミングで投入するために不可欠な要素である。

  4. アジア戦略とグローバル戦略とを整合性を保ちながら推進するには、地域統括機能の拡充や情報通信ネットワークの活用が有用である。

  5. 日本の自動車メーカーにとって、グローバル戦略を構想し、実行できる人材を育成するためのシステム構築が重要な課題となろう。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ