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RIM 環太平洋ビジネス情報 2003年1月Vol.3 No.8

深刻化する中国の財政問題

2003年01月01日 環太平洋研究センター 孟芳


要約

  1. 中国の財政は、国有企業と深いかかわりをもっている。歳入の半分以上が国有企業から徴収される一方、業績が悪化した国有企業を救済するための歳出が多い。
    もともと財政規模が小さいことから、国家財政赤字は80年から97年の年平均で210億元程度と、とくに問題となる水準ではなかった。
    98年以降、安定的な経済成長の維持や国有企業改革の推進などにより、国債発行による積極財政政策が実施されている。この結果、国債発行高は98年の3,891億元から2002年には6,600億元と倍増し、財政赤字は同期間に918億元から3,089億元に拡大した。
    2002年の財政赤字の対名目GDP比は、国際安全ラインの3%に達している。

  2. 地方財政も悪化している。とくに、内陸地域が深刻である。歳入が不足するなか、国有企業の救済、行政管理、教育関連などの支出が膨らんでいる。
    また、県および郷・鎮レベルの財政状況は一層深刻であり、全国2,000余りの県のうち、40%近くが財政赤字に陥っている。
    また、農村部の1人当たりの債務負担は数百元といわれており、一部地域では抗議デモが発生している。

  3. 98年より毎年1,000億元~1,500億元の建設国債発行により、公共投資の拡大が図られている。現在のところ、公的統計からみる国債発行規模は、いずれも安全ライン内にあるが、将来的には債務負担が大きく膨らむ可能性がある。
    国有商業銀行の不良債権、国有企業の債務残高、社会保障関連の支出などを合わせると、名目GDPを超える規模の債務があると推測される。

  4. 今後、予算内資金の不足と予算外資金の急増、地方への移転制度の見直し、租税システムの不備と脱税の横行など財政管理体制に関する様々な問題を早期に解決しなければならない。
    一方、財政負担を軽減するために、国有企業改革や金融改革を推進し、これに関連する社会保障制度の整備も急ぐ必要がある。
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