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Sohatsu Eyes

ネットで地域通貨

2003年03月25日 嵯峨 生馬


吉本興業が始める「ワラエールポイント」という新しいサービスに 関する記事を読みました。記事によると「ワラエールポイント」とは 吉本興業のウェブサイトからネタを投稿したり、その投稿に他人か ら評価が集まると加算されていき、たまったポイントを使うと、なんばグランド「花月」の舞台裏ツアーなどに参加できるという仕組みだそうです。

名前こそ「ポイント」と名づけられていますが、これは地域通貨の1つだと思いました。いわば、お笑いが資本の吉本らしい、吉本通貨だと、思ったわけです。 しかも、その小気味いい発想と同時に、明日のお笑いスターをあらゆる方法で発掘しようとする吉本の戦略が感じられます。ユーモアと戦略が一体となったこのワラエールポイントに、座布団1枚、いや、2枚でも、差し上げたい気持ちになったわけです。 さて、地域通貨とは、特定のエリア、または、コミュニティの中で 独自に通用する価値の交換媒体のことをいいます。

その数は日々増え続けています。また、日本では「地域」ですが、本来は 「コミュニティ通貨(community currency)」です。 地域通貨が、1999年に政府が発行した地域振興券との根本的 に違うところは、参加する人の価値観や考え方などでつながった コミュニティを流通する、自発性と多様性に基づく通貨だという点です。

冒頭のワラエールポイントは、まさにその好例だと思いますし、その他、例えば、都市の住民が農村に足を運び、農作業手伝いのお礼として、現地の地域通貨を受け取り、その通貨は現地の滞在費や、その地で取れた農産物の購入に利用できる事例や、ラジオ局が、番組の投稿や情報提供に対して地域通貨を発行し、協賛する商店で利用できるという構想など、使い方が広がっています。 これらは、「地域」という枠組みを超えた動き方をしますが、いずれもコミュニティ通貨という意味で、地域通貨の仲間です。

そのように考えると、実は、地域通貨は、無限に可能なのではないかと思われます。というのも、そこにコミュニティがある限り、 地域通貨が流通する可能性があるからです。

私ども「地域通貨フォーラム」では、現在、地域通貨のプラットフォームとなるようなシステムの開発を支援しています。4月上旬からリリースされる、システムの名称は「CCSP.JP」。

CCSPとは、地域通貨サービスプロバイダー(Community Currency Service Provider)の略。このCCSP.JPは、特定の通貨を運営するためのシステムでは なく、多様な地域通貨が共通で利用できる地域通貨のインフラとしての役割を果たすシステムです。

このシステムを利用すれば、個人が地域通貨の口座を開き、参加を 希望する地域通貨に参加することができ、インターネットを通じて 地域通貨のやり取りができます。さらに、自分たちの通貨を持ちた いコミュニティがあれば、いつでも簡単な手続きで新しい地域通貨を立ち上げることができます。

こうすることで、地域通貨がもっと身近なものになり、もっと当たり前のものになる。いうなれば、だれでもいつでも、座布団1枚!を、あげたいと思う人にあげられるような仕組みができる、わけです。

「地域通貨を立ち上げるのには、どれぐらい準備に時間が必要で しょうか?」
かつて、地域通貨「LETS」の創始者であるマイケル・リントン氏が来日した際、ある人がこんな質問をしました。

「何てことはない、ほんの1秒さ。」
リントン氏は指をポンと鳴らしながら、飄々とした表情で答えました。1秒とまでは、いかないかもしれませんが、たった数分で、新しい通貨ができるシステムは、公開間近です。ご期待いただければ、 と思います。

○CCSP.JP(プレオープン) http://www.ccsp.jp/
○野良しごと。(都市・農村交流) http://www.norashigoto.jp/
※3/29~4/24東京・青山「地球環境パートナーシッププラザ」「LETSソーシャル・バケーション」を開催!(無料)
○地域通貨全リスト http://www.cc-pr.net/list/
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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