Sohatsu Eyes
電子自治体のためのIT調達
2003年04月22日 三木 浩平
「初の電子投票」
「地域iX整備により情報化を促進」
「基幹システム見直し、BPR導入へ」
紙面では毎日のように、行政電子化の動きが報じられます。国も地方自治体も2003年を電子政府・自治体のマイルストーンとしています。
今、まさにIT導入のラストスパートと言えるでしょう。財務システム、文書管理システム、施設予約システム、統合地図情報システム~あらゆる業務にシステムが導入されていきます。
その一方で、不可解な記事も目にします。
「システム導入で1円入札」
なぜ、何千万~数億円もするシステムが1円で売られるのでしょうか? もちろん、これではシステム会社は、大きな赤字です。ところが、数年もするとそのシステム会社は十分に利益を得ることになるのです。
それは、ITの特性が要因となっています。
IT関連のシステムや機器は、メンテナンス費用が非常に高いのです。会社や自宅で使っているパソコンに毎年どれだけ時間と費用をかけているかを考えれば、大規模なシステムの維持にかかるコストもイメージできるかと思います。
また、大規模なシステムになると、その複雑さから、「システムを構築した会社でないとメンテナンスできない」と言われています。そうすると、最初にシステムを納入した会社は、あとは「高い値」でメンテナンス業務を受注できる確率が高いのです。
安値入札などの事態を受けて、総務省他は、昨年3月に「情報システムに係る政府調達制度の見直し」という指針を発表しました。そのなかで、「ライフサイクル・コストでの価格評価」や「加算方式による総合評価」など有効な提案が示されています。
ITの特性は変えることはできませんが、その調達の方式や契約方法に工夫を凝らすことは可能です。自治体の皆様からは、「ライフサイクル・コストや総合評価をどのように使うのか、具体的な手法やステップを知りたい」という声がたくさん寄せられています。
創発戦略センターが事務局を担当する「電子自治体フォーラム」では、ご参加いただいている300近くの自治体様と共に、今年度、調達方式と契約に関する検討を行う予定です。そこで、業務の中で使え驛}ニュアルやHow to解説、先進事例集などを開発できればと考えております。
■ 総務省:報道資料
情報システムに係る政府調達制度の見直し
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020329_6.html
検討内容や結果については随時、電子自治体フォーラムwebサイトで公開していきたいと考えています。ご期待下さい。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。