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Business & Economic Review 2003年07月号

【REPORT】
コンピテンシーが行政を変える-改革期の自治体の人事改革の切り札

2003年06月25日 研究事業本部 山中俊之


要約

  1. 行政改革の重要な要素である人事制度改革を進めるためには、高業績者の行動特性に焦点をあてたコンピテンシーの活用が有用である。コンピテンシーが行政においても有用性が高いと考えられる理由は、a.行政の場合には設定が困難な数値目標に代わる指標として活用出来ること、b.行政におけるビジョンを行動レベルに具体化出来ること、c.職位ごとの行動基準が明確になること、などからである。

  2. 自治体においてコンピテンシーを活用した事例として、宇都宮市やイギリス・バッキンガムシャーなどがある。宇都宮市では、コンピテンシーを役職位ごとに義務的なベーシック・コンピテンシーと、全職員にとって選択可能なファンクショナル・コンピテンシーに分け、人事評価や昇進要件に活用している。バッキンガムシャーでは、人材育成にコンピテンシーを活用している。

  3. 自治体におけるコンピテンシーの構成としては全職員共通の共通コンピテンシー」、部門や職種に応じて選択が可能な「部門・職種コンピテンシー」、管理職にとって必要な「マネジメント・コンピテンシー」が考えられる。自治体の場合、多様な業務を担当していることから、実際のディクショナリーの作成には、高業績者へのインタビューを実施することが適当である。

  4. コンピテンシーを実際に人事制度に活用する際には、a.これまでは抽象的だった目標とする人材像の職位ごとの明確化、b.公務員制度改革で導入が決まっている能力等級制度における能力要件、c.目標管理による業績評価とコンピテンシーによる人事評価の併用、d.各部署の標準コンピテンシー・パッケージを活用した人材配置、e.昇進の要件、f.外部からの人材登用の要件、といった様々な目的が考えられる。

  5. もっとも、コンピテンシーを有効に活用するためには、a.コンピテンシーの設定やハロー効果の問題への対応、b.トップのビジョンや理念の組み込み、c.職種や部門が異なることへの配慮、d.庁内LAN における質疑応答などを活用した職員向けの定着化、e.コンピテンシー独自の問題へ対応するための評価者訓練、などが必要である。
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