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Sohatsu Eyes

DESSコンソーシアムの創発

2003年07月08日 井上真壮


「あの会社の新プロジェクトは絶対にうまくいかない。理想論で、現実をあまりにも理解していない。現実を知っていたら、そんなことをやろうとも思わないはずだ。」
具体的な課題をいくつも提示しながら自信をもってこう言われると、詳しく知らないにもかかわらず、安易に同意してしまうことがあります。

最近、これは自らの首を絞める行為と戒めています。というのも、先の新プロジェクトの担当者と自分が全く同じ立場だからです。自分の担当するDESSコンソーシアムは、6/5に設立総会を行いましたが、現段階で具体的なアウトプットはありません。既に30社近くのご参加をいただいていますが、設立総会にご出席いただいた方の中には、我々の提案に対して先の友人のように“理想論だ”と感じた方もいらしたかもしれません。

理想を実現するのは、担当者のプロジェクトにかける“想い”や“意気込み”だと思います。もちろん、具体的な目標や計画、そして戦略も重要ですが、誰から見ても完璧な計画や戦略はありません。

その穴を埋めるのが、“想い”や“意気込み”だと思うのです。

“知識”があっても“想い”がなければ、先入観ばかりが先立って理想が描けないこともあります。最低限の知識は必要ですが、結局は“想い”以上にプロジェクトの成否を左右するものはないということです。事業会社を設立するに至ったESP(Energy Service Provider)コンソーシアムは好事例と自負しています。

ESPでは、これまで日本ではお金にならないと言われていた “エネルギーの使い方の改善”を中心としたサービスを提案し、実際に顧客の評価を得ています。先入観がなかったからこそ実現できたのですが、実際の活動では、現実として存在する全ての課題を受け止め、その一つ一つに回答を出してきただけです。決して楽な作業ではありませんが、これを実現したのはプロジェクトマネジャーの岩崎の“想い”でした。 話は変わりますが、先日、ある企業の技術部門で活躍されている方に次のようなことをうかがいました。

「技術は一つ一つの積み重ねでしかない。技術革新とは、突然、技術が進歩することではなく、何年も前から見えないところで技術開発が進められていた結果だ。」

もちろん、ある天才が突然、新技術を生み出すこともあるでしょう。しかし、それはごくわずかな例に過ぎないと思います。我々のコンソーシアム活動にも全く同じことが言えます。天才的な革新は必要ありません。そうではなく、現実問題として存在する多くの課題に逃げることなく、理想の実現に向けて努力し続けることができるか。コンソーシアム期間の2年間、そうした“想い”を持ち続けることができるか。

それが、結局は世にインパクトを与える革新的なアウトプットとなるのだと信じています。DESSコンソーシアムは、スタートしたばかりですが、初志貫徹で頑張りたいと思います。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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