Sohatsu Eyes
環境バイオ産業の「縁」と「創発」
2003年07月22日 西村実
13年前、前職で挫折したバイオの事業化を別のアプローチで成し遂げたいという想いで日本総研に移りました。
幸運にも2年目に微生物の力で汚染土壌を浄化するバイオレメディエーションに出合いました。日本では未着手のテーマで、適切な日本語訳もありませんでした。
コンソーシアムを立ち上げ、初めて汚染現場で実証試験を成功させたことにより注目を集めました。この仕事で得た国内外の専門家との「縁」は、今日まで私の活動を支えています。
同僚とはバイオテクノロジーを環境問題の解決に役立てる“環境バイオ産業の創出”というビジョンを共有しました。その同僚が起業した「エンバイオテック・ラボラトリーズ(EBTL)」に現在参画しています。
エンバイオテックとは、エンバイロメント(環境)バイオテクノロジーの造語で、環境バイオ産業の先駆けとして世界に通じる製品を研究開発する会社です。抗体というコア技術を生かした製品を企画し、資金を調達し、研究スタッフを集め、大学や国公立研究所、企業と連携した研究開発やマーケティングのプロデューサー機能を果たします。
協力機関は海外にも及びます。EBTLの特徴は、分子生物学の世界的権威で思想的に大変な尊敬を集める村上和雄筑波大学名誉教授をはじめ、集った人材の志の高さです。スタッフにはこれまでの「縁」を頼りに、ビジョンに共感していただけるプロフェッショナルを迎えました。
企画を立案すると、様々な専門の個性が侃侃諤諤し、瞬く間に実現の道筋が具体化されます。「創発」の瞬間です。米国の専門家との10年来の「縁」でバイオレメディエーション事業も日本総研と連携して開始しました。
エンバイオテックの「エン」は、私的には「縁」と解釈しています。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。