Sohatsu Eyes
CSRは新たな局面へ
2003年10月15日 佐藤 洋二
「企業の社会的責任(CSR)」をめぐる企業の動きやCSRに積極的に取り組む企業に投資する「社会的責任投資(SRI)」をテーマとする特集を新聞紙上でも目にする機会が増えてきました。 CSRに対する企業や消費者の関心は着実に高まってきているようです。
創発戦略センターでは、これまで、CSRの取り組みを社会的な動きにまで高めていくことを目指して、シンポジウムやセミナーの開催、年金資金によるSRIファンドの創設など、さまざまな活動を行ってきました。
企業の対応もこの1年で大きく変化してきており、「CSRとは何か?」という情報収集の段階から「CSRをどのようなかたちで果たしていけばよいのか」ということに関心が移ってきているようです。
理念や理想論が先行してきた感があるCSRですが、これからはいよいよどう実践するのか、その内容が問われるフェーズにはいったといえます。
従来のメセナや慈善事業が本業の「余力」でおこなうものであり、経営の本流とは一線を画した活動であるのに対して、CSRは、その取り組み自体がガバナンス、リスクマネジメント、ステークホルダーとの信頼関係の構築など、経営の根幹を形成するものと深く関わるテーマであり、経営戦略の中核として位置づけていくべきもの、との考え方が前提にあります。
したがって、CSRを理想論に呼応した単なる掛け声や一過性のブームに終わらせることなく、真に意義あるものとしていくためには、企業が競争戦略のなかでどのようにCSRを実践していくのか、そしてビジネスとの相乗効果や成果をどう具体化していくのか、その方法論を示していくことが必要でしょう。
創発戦略センターでも、高い「理念」を追求しつつも理想論に終始することなく、具体的成果を実現していくためのソリューションを提供していくと同時に、企業のCSRへの取り組みを正当に評価していくような社会の仕組みを提案していく活動を行っていきます。
これからが、正念場です。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。