Sohatsu Eyes
コンサルタントの責任
2004年04月13日 工藤 真紀

検討がどのように進んでいくかというと、コンサルタントは当初クライアントから求められたことだけを行っていれば良いわけではありません。新事業の形という「答え」がまだ確定していないためです。クライアントとともに汗をかいて、事業立ち上げのために知恵を絞ります。「良い事業とはどのようなものなのか」「それを実現するためには、何をすればよいのか」を見失わないよう、関係者が各々の想いをぶつけあい、お互いに影響しあい、当初想定した枠組みを超えて真実と考えられるものをつかみとっていきます。
このようなプロセスは、われわれが「創発」と呼んでいるものです。1人の力を「1」とすると、2人が合わさると「2」になるのではなく、お互いがコミュニケートして影響しあうことにより、新しい発想が生まれて「3」になるという考え方です。事業立ち上げにむけた議論の中では、関係者が真剣そのものにぶつかり合うことで、創発が起き、新しい価値が生まれていくのを実感できます。甘えの許されない厳しい仕事ですが、すばらしいスピリットを持つ方に出会う機会に恵まれ、刺激的な仕事だと思っています。
ただ、気をつけなければならないのは、プレイヤーの一員としての責任の重さです。議論に良い影響を与えることもできますが、逆に悪い影響も与えることができてしまうということです。その責任を自覚し、どのような事業が正しいのかという「信念」、そして、自分の行動の軸となる「感性」をみがくよう、日々鍛錬していかなければならないと感じています。
※先人の知恵は、貴重な示唆を与えてくれます。写真は瑠璃光寺(山口市)。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。