Sohatsu Eyes
素材でもCO2削減を
2004年04月27日 石田直美
環境省は、2010年の日本の温室効果ガス排出量が最大で1990年比4.6%増加する見通しであることを発表しました。 6%削減を目標とした京都議定書の達成は、危機的状況です。議長国として、あらゆる取り組みを総動員し、目標達成に向けた戦略を示さなければなりません。
そこで注目されているのが、植物由来の素材です。植物から作った素材では、廃棄後に排出される二酸化炭素が原料となる植物が空気から吸収した二酸化炭素と同じになります。
すなわち、カーボン・ニュートラルという性質を持っているのです。これに対して、プラスチックは、石油から製造し、焼却処理等により二酸化炭素を空気中に放出します。プラスチックを植物由来のものに変えることができれば、CO2削減に貢献できます。
植物由来の素材としては、紙やケナフ等がありますが、最近では植物由来のプラスチック(Bio-Based Polymer)も開発、商品化されています。代表的なのは、アメリカのカーギル・ダウ社が製造しているポリ乳酸と呼ばれるもので、既に利用されています。メーカーの試算によると、従来のプラスチックに比べ、原料採掘から製品ができるまでのLCAベースで、CO2排出量が数十%削減できるといわれています。
しかし、現状では植物由来のプラスチックは従来品に比べて原料費が3~4倍もする、品質面でプラスチックより劣る等の理由で、ユーザーでの本格導入はまだこれからという状況です。さらに、温暖化対策上の効果が認知されておらず、政策的な推進体制も十分とはいえません。「素材による温暖化対策」として、植物由来の素材の認知度を高め、普及のための活動をしていきたいと思います。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。