Business & Economic Review 2003年04月号
【REPORT】
国際化と都市再生による地域活性化の方向性
2003年03月25日 研究事業本部 河野俊明
要約
- 現在、「国際化」「都市再生」は、地域経済の活性化を考えるうえで重要なファクターになっている。そして、この「都市再生」と「国際化」とは区分して考えることは出来ない。本稿では、都市再生によって国際化の潮流に対応し、地域経済の活性化を図るための方向性を提示することを目的としている。
- 地域経済の「国際化」は、最近の大きな潮流であり、地方の都市・地域がこうした動きに適切にそして迅速に対応することが重要である。しかし、産業の国際競争力の低下、量的・質的にまだ低いレベルにとどまっている対日直接投資や人的な国際交流、外資系企業の東京偏在など、地域経済が直面する課題も多い。
- 地域経済の活力を低下させた要因の一つとして、都市の衰退を指摘することが出来る。地方分散・過疎地域重視の国土政策が見直されるなかで、「都市再生」は現在の日本経済、さらには地域経済の活性化を考えるうえで重要なファクターとして位置付けられている。そして、今後の都市再生を考える場合には、国際化という視点が不可欠である。国際化に対応し得る産業基盤や都市基盤の整備を都市再生の動きのなかで早急に実現していくことが、地域経済の活性化に残された数少ない選択肢の一つであると考えられる。
- 国際化と都市再生による地域経済の活性化の方向性として、(1)「高コスト構造の是正」「規制の緩和や商慣習などの是正」「インセンティブの提供」を図ることによって産業インフラの利用における効率性を向上させ、「都市における投資収益性の向上」を図ること、(2)地域の競争と連携、地域一体となった経済開発の取り組みによって世界水準の産業・研究開発拠点の形成を図り、「産業立地・育成のための都市基盤の整備」を実現すること、(3)地域経済における人的資源の重要性を再認識し、多様な就労形態、労働力の導入や国際ビジネスインキュベーションの形成による知的人材の集積促進によって人的資源の確保を図ること、(4)大学・大学院などをはじめとする地域に固有の知的資源を事業化に向けて活用することにより技術進歩の持続力確保を図ること、が重要である。