Sohatsu Eyes
インキュベータの覚悟
2004年06月08日 岩崎 友彦
創発戦略センターは社会・環境貢献に対する高い志を持った人間の集団です。現代社会に対し、新たな視点から問題提起を行い、中立的な立場からコンソーシアム等の形態にて解決策を主導しています。
日本経済は、20世紀に戦後の混乱から奇跡的な回復・成長を遂げました。一方、21世紀は様々な意味で「飽和の時代」となり、急成長の見込める分野が限定的になりました。未曾有の少子高齢化時代を迎え、社会の中に「どこに向かえばいいのか」という方向喪失感が蔓延しています。今、求められるのは、「どこに向かえばいいのか」を指し示す具体的なビジョンです。重要なことは、目標設定をすることであり、時代背景、市場ニーズに応じてビジョンもしなやかに適宜、修正しながら、新たな可能性を模索していくことになります。
こうした意識の下、社会・環境問題の解決に当たる創発戦略センターのメンバーを「インキュベータ」と称しています。インキュベータは既成概念に囚われず、常に感度の高い瑞々しい感性で市場の声に耳を傾け、私心を排してゼロベースにて問題解決に当たっています。
革新的な活動に対しては、多くの保守的な人々から厳しい批判に晒されるのが常ですが、自らリスクテイクし社会・環境貢献に燃えるインキュベータは、批判にひるむことはありません。新たな試みには多くの高いハードルが待ち構えているのが当然です。顧客・市場の声に謙虚に耳を傾け、一つずつハードルを越えていくことの成否は、インキュベータ本人の志・覚悟の深さにかかっています。
万事に対し、当事者意識で正対してリスクテイクし、多くの批判・軋轢に耐え、初心を貫き通す力はインキュベータの人間力でもあります。この意味でインキュベータとは、事業家であり宗教家でもあるべきだと考えます。
かくいう私も「(1)社会資本・資源の効率的活用、(2)消費者意識の変革、を念頭にエネルギーの側面から顧客の行動改善を実現することにより、顧客の経営課題及び地球環境問題の解決に資すること」を創業理念とした事業会社(イーキュービック(株):エネルギー利用の適正化サービス指南:http://www.ecubic.co.jp/)を立ち上げ、日々格闘しております。道のりは決して平坦でないどころか、日々判断を一つ間違うと、たちまち足を踏み外す崖っ縁にいると言っても過言ではありません。そうした日々の中で改めて思うことは、判断の連続にあって「常識感覚」がいかに大切であるかということです。反省と自問を繰り返しながら奮闘を続けます。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。