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Sohatsu Eyes

自動車リサイクル法と変わる業界図

2004年06月08日 瀬戸 和佳子


2004年7月1日施工の自動車リサイクル法によって、自動車解体業者及び破砕業者の許可制度が開始されます。これに伴い、これまで法律や公式なデータでは正確には把握されていなかった、自動車の静脈部分を司る世界が、大きく変わることになります。
自動車は、ユーザーの手を離れた後、そのまま一般ごみのように廃棄されるというわけにはいきません。多くの複雑な工程を持つ廃棄処理の世界では、一般的には解体業者や破砕業者、産廃処理業者といった自動車リサイクルの重要な担い手であるさまざまな業者が重要な役割を果たしています。

日本の労働人口の10人に1人は自動車産業に従事している、といわれる巨大な産業ですが、その静脈部を担う世界の実態は、これまであまり明らかにされていませんでした。しかし、自動車リサイクル法によって静脈産業の担い手に届出が必要となり、法律で定められる適切な処理設備が備えられていなければ、許可が下りないことになります。
このような自動車の静脈部について、これまで行政や自動車産業界は積極的な関与を行ってきませんでした。その間、独自に形成されてきた既存の静脈産業については、不十分な設備やずさんな管理体制による環境汚染が指摘されてもいますが、大量生産・大量消費の社会を一方で支えてきた環境の陰の立役者である、という見方もできます。
自動車リサイクル法は、既存の静脈産業をオフィシャルなものにしようとしています。業界全体に大きな変化をもたらすものであると同時に、変化についていけない業者が存在するかもしれないことを、意識せずには居られません。環境保全の徹底のために伴う痛みは、循環型社会を構築する生みの苦しみ、と言えるのかもしれません。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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