コラム「研究員のココロ」
課題解決に向けた知恵と勇気が地域を元気づける
高齢者が地域の元気をつくる
2004年01月13日 岸田 拓士
1年振りに京王線でコンサルタントのKと再会した。この前は「愛させる技術」なんていう話を聞いたな。
私「よう、久しぶり、何を見てるんだい」
K「1年振りだな。今クリエで撮ったガイヤの夜明けを見てたんだ。プロジェクトX、21世紀ビジネス塾、ワールドビジネスサテライト、皆好きなんだけれど、この頃は移動中に見ることにしてるんだ。PDAで見るって便利だよ。「冬のソナタ」も入れてるけどね。年のせいかな、素直に感動しちゃうんだ」
私「あれほど口うるさかったお前がか。で、何考えてるんだ。また、いつものように何かグチャグチャ考えてるんだろ」
K「地域の活性化って何なのか考えているんだよ。頑張っている人を取材するのも仕事でね。恵まれていない地域ほど頑張っている気がするんだ」
私「でも、地域の活性化ってそんなに難しい話か。そりゃ、やるのは難しいけど、要は地域全体が経済的に豊かになることだろ」
K「確かに、そんな風に思ったこともあったけどね。地域全体でなくていいんじゃないか、経済的な効果なんてなくてもいいんじゃないか、この頃はそう思うようになったんだ」
私「じゃ、地域活性化って何なんだ」
K「地域の課題を解決していくこと。課題解決に向けた知恵と勇気じゃないかな」
私「だったら、まちづくりは人ってよく聞くけど、そのときの人って一人でもいいんだね」
K「そうなるね、一人でもいいんだ。でも相当の覚悟が必要だけどね。地域をよくしたいという想いが本物なら、地域で理解されれば、人は集まってくる。「小川の庄」の権田社長の場合も、「フュージョン長池」の富永理事も場合も本物だったから、人々は賛同し行動し、自分達流のやり方で課題解決策を見つけて実行できた。どれだけ地域を愛しているか、人が好きか、試されると思うよ。自分の利益を夢見るだけではできないんだ。それでできるんだったら株式会社がやるさ。時間があったら、 http://www.enepla.com/file/jyumin_aisatsu.html に小川の庄やフュージョン長池のことも詳しく書いているので、読んで意見をくれないかい」
私「いいよ、近いうちにメールするよ。そう考えていくと、高齢者のチャンスだね」
K「何で」
私「そりゃそうだろ。子育てが終わり、会社からも離れて地元に戻る。好きなことも、鍛えた技もある。金も少しでいい。高齢時代に入って、やっと「自分の好きなやり方で貢献」できるんじゃないかな。」
K「実は僕も「高齢者が地域の元気をつくる」と考えているんだ。これはまちづくりに対する一つの信念なんだ。若者と組めれば鬼に金棒だけどね。岩手県一関市のチャレンジショップは若者のチャレンジを高齢者が支援した格好の事例だよ。」
私「高齢社会は高齢者のチャンス到来か。大げさに言うと、まさに生き方の問題だね」
K「そうなんだ。地域をよくしたい、この想いこそが元気の源だと思う」
私「でもそんなにいつもうまくいくのかい」
K「いいや、うまくいく方が圧倒的に少ないと思う。単なる思いつきなのか、覚悟を決めた本物なのか、それが分かれ目だと思う。プロジェクトXを見ててもそう思う。「人の喜ぶ顔を見るのが生き甲斐」、これが覚悟を決めて志を遂げた人達に共通の言葉だった」
私「やっぱり地域の問題は地域が解決していく時代なんだね。自分たちの方法で自分達の答えを見つけていくんだ。何が課題か、何から手をつけるか、もう全国共通の解決策なんてないし、その解決策を見つけていく過程が、地域活性化だといいたいんだろ」
K「地域の豊かさはその地域が決める時代なんだよ。この地域とは、住民と行政のことだよ。「地域決定・地域責任」、これこそが地方分権の本質だよ」
僕が会社を離れ地域に戻るのもそう遠い話ではない。ひょっとしたら地方分権はうまく説明できなくても、住民参加なんて言葉にしなくても、既に実行しているのはお母さん方かもしれない。一度、家内に地域活動について聞いてみよう。何とかNPOに行ってくるからと言って、何かと忙しくしているから。できれば参加してみようか。まだまだ、人の喜ぶ顔を見るのが生き甲斐といえるだけの覚悟はないけれど、「人の喜ぶ顔が生きる証」と思えるようになってきたから。