コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

Sohatsu Eyes

Sustainability Report 2004

2004年07月13日 白鳥 わか子


日に日に暑さが増すこの季節、多くの企業から新たな年度の環境報告書が発行されます。 近年では、「社会・環境報告書」「サスティナビリティ・レポート」などと名前を改め、環境に関する情報だけでなく、CSRの各要素を盛り込んだレポートも多くなってきました。具体的には、コンプライアンス、従業員との関係、サプライヤーとの関係、社会や地域との関わりなどです。

記載される内容が多様化したことに加えて、近年発行される環境報告書の大きな特徴として、「人」に焦点を宛てたものが増えていることが挙げられます。例えば、松下電器グループのサスティナビリティ・レポートの前半部分では、障害者向けの機器の開発や途上国での遠隔教育システム導入プロジェクトなど、様々な社会・環境分野のプロジェクトに関わる人たちの体験談を中心にストーリーが編成され、プロジェクトに関わる人々の苦労や喜びが伝わる仕掛けになっています。大手スーパーのイオンのサスティナビリティ・レポートでは、冒頭に、「私たち一人一人がイオンです」と宣言され、報告書の各所に現場で働く人たちの声が掲載されています。

こうした変化は、「企業を作るのは人であり、人の活力が企業の活力を生み出す」という至極当たり前の事実を、多くの人が再認識し始めている証拠なのではないでしょうか。マネジメントシステム、環境負荷を減らすための取り組み、地域貢献活動、コンプライアンス等、様々な企業のCSRの取り組みは人によって支えられています。どれだけよく出来た仕組みが作られても、どれだけ多額の予算が投入されても、そこで働く人々の意識が十分でなければ、活動が全く意味を成さなくなってしまう可能性もあるのです。現場で働く人に、環境の、そしてCSRの意識を持ってもらい、彼らが生き生きと働くためにはどうすればよいか-そういったことを、多くの企業が考え始めているのかもしれません。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ