コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

Business & Economic Review 2004年02月号

【REPORT】
2004年度関西経済の見通し-企業部門中心の景気回復が持続

2004年01月25日 調査部 関西経済研究センター


要約
  1. 2003年度の関西経済は、個人消費や公共投資が低調に推移する一方、輸出や設備投資が拡大するなど、製造業を中心とした企業部門の牽引により回復傾向が続いた。
    関西経済が今後も回復傾向を続けるには、輸出を起点とした企業部門の前向きな動きの持続性と家計部門への広がりがポイントになる。

  2. 関西の企業部門の動きをみると、生産は2002年初からの輸出回復に伴い持ち直しがみられたが、その増加ペースは、前回の景気回復局面(1999年1~3月期以降)よりも強めである。とりわけ、電気機械関連分野の増勢が注目される。好調な輸出に加え、デジタル家電の販売拡大、国内企業のIT投資の回復などを背景に需要が増加していることから、電子部品・デバイスを中心に電気機械関連の生産が拡大している。
    海外経済の回復による輸出の拡大や国内における電気機械関連分野の需要拡大が、生産の拡大を通じて関西の企業業績の改善にも寄与している。この結果、関西では設備投資にも動意がみられるようになってきた。

  3. 2004年度の関西経済を展望すると、まず企業部門は、アジアを中心とした海外経済の回復を支えに、輸出増→生産増→収益回復→設備投資増というサイクルが引き続き働くとみられる。もっともアメリカ経済を中心に海外経済が年後半から回復ペースが鈍化すると予想されるため、アジアからアメリカなどへの輸出の伸びも鈍化し、その影響が関西のアジア向け輸出にも及ぶとみられる。関西のアジア向け輸出が減速するに伴い、生産や企業業績の回復といった、設備投資の動きを左右する要因の改善も緩やかになるとみられる。
    家計部門は、関西では依然厳しい雇用・所得環境が続いており、個人消費は全体的に弱い。2004 年度は、企業の人件費抑制姿勢が強いなか、雇用・所得環境の改善は緩やかなため、個人消費は引き続き低調な動きが予想される。
    公共部門は、2004年度は都市再生関連の公共事業が見込まれるものの、国の財政改革路線と地方財政の緊縮スタンスが続くことから、公共投資は全国を上回る減少傾向が持続するとみられる。

  4. 2004年度の関西経済は、後半に調整色が出始めるため、2003年度に比べ回復テンポの鈍化が予想されるが、アジア向け輸出の相対的に高い伸びの持続、電気機械関連業種の生産増加などから、全国を上回る成長率が続くと見込まれる。

  5. 関西経済において、企業部門でみられる回復の前向きの動きがさらに広がっていくためには、事業再構築の一層の推進、中小製造業集積の活力維持・強化、サービス産業の活性化などの課題があげられる。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ