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Sohatsu Eyes

逆転の発想

2004年10月26日 木村 容子


何不自由なく快適に暮らしたい、なるべく豊かに暮らしたい。でも、環境には優しくありたい。大概の人はこう考えていることでしょう。もちろん、私も例外ではありません。私は自然をこよなく愛する人間です。そろそろ、紅葉の綺麗な季節。山々が色づいている様を思い浮かべると、居ても立ってもいられません。きっと、週末には、高速道路を飛ばして日光にでも向かっていることでしょう。車の走行によるCO2の排出などお構いなしに。

日本全体で、家庭分野の省エネルギーはなかなか進んでいません。一人一人の省エネルギー意識が薄いこと、多くの人が省エネのために快適な生活を犠牲にしたくないこと、などが原因と思われます。政府は、国民に、具体的な省エネルギー対策を示しています。例えば、「テレビ利用時間を一日一時間減らす」や「シャワーの利用を家族全員が一日一分減らす」などです。このような対策をどれだけの人が実行しているでしょうか?実際に、実行している方はごくわずかでしょう。 たとえ、実行したい気持ちがあったとしても、“分かっちゃいるけどやめられない。”のが実情でしょう。
「DESSコンソーシアム」では、集合住宅の一軒、一軒に発電設備を設置するエネルギーシステムを提案しています。ベランダなどに発電設備を設置するので、発電設備の大きさには限りがあります。そこで、集合住宅全体で、エネルギーを効率的に利用する工夫が必要になります。例えば、お隣同士で電力を融通する、電力の使用量が増え過ぎた場合、生活に支障のない範囲で、電気機器をOFFする、などです。従来は、電力の需要量が増加すると、電力会社が発電設備を増設するなどして対応してきました。DESSのシステムでは、電力の融通などの工夫により、限られた大きさの発電設備に合わせ電力を消費する、という逆転の発想になる訳です。
日本が京都議定書で約束した温室効果ガスの削減目標を達成するには、一人一人が相応の我慢をする必要があります。だからといって、私達は、もうテレビやパソコンのない生活には戻れません。今、必要なのは、省エネルギーを実現する技術力であり、発想力でしょう。自分の目指すライフスタイルを実現する方法を徹底的に考える。こうしたところに「創発のタネ」が潜んでいるのではないでしょうか。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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